野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「ポーコン」と「驚愕」

今朝は、鍼灸にいってきました。

そして、いずみホールでの日本センチュリー交響楽団定期演奏会で、野村誠作曲「ヴァイオリンとポータブル打楽器のための協奏曲『ポーコン』」が演奏されるので、本番前のリハーサルから立ち会いました。

ぼくの曲は、コンサートマスターの松浦奈々さん、打楽器の安永友昭さん、廣川祐史さん、関谷康子さんの4人が演奏。この4人が、本当に素晴らしい演奏家なのですが、真剣にしかし目一杯楽しんで演奏してくださっているのが、何より作曲家としては幸福なことなのです。音楽に生命が吹き込まれるというのは、こういうことを言うのですね。

この4人以外の人は、野村作品には出演しません。でも、センチュリー響の楽団員の顔見知りの方々が、リハーサルを客席で興味津々に聴いてくれたりするのが、嬉しい限りです。お疲れだから、楽屋とかで休みたいかもしれないのに、それでも聴きたいから聴いてくれているのが、嬉しいです。

5年前に、日本センチュリー交響楽団のコミュニティ・プログラム・ディレクターに就任した時、ぼくは完全に外部のよそ者でした。定期演奏会の会場に来ても、単なるお客さんですし、50人以上いる楽団員の中に、知り合いは一人しかいませんでした。5年経って、楽団員全体の40%くらいにあたる20人以上の方と一緒にお仕事したことがあり、今ではすっかり、自分は日本センチュリー交響楽団野村誠なんだと思うようになりました。多分、ぼく自身がオーケストラ・プレイヤーに対して、心を閉じていたのかもしれません。ぼくが、警戒していたのかもしれません。でも、時間が経つにつれて、ぼく自身の心も開いてきて、それにつれて、オーケストラの方々も心を開いて接してくださるようになった、と感じています。なんだか、今日のいずみホールでは、ホームグランドで試合をしているような安心感がありました。5年間の大きな成果だと思います。

本番の演奏、守りに入らない演奏で、とってもよかったなぁ。遊び心に満ち溢れていたし、音楽する喜びに溢れていたし、客席で聴きながら、ドキドキ、ワクワクしながら、あ、もうこのメロディーで終わっちゃうと思ったときに、もっと聴きたい、残念って思いました。ああ、嬉しかったし、幸せだったなぁ。

ハイドン交響曲にはさまれて自分の曲を聴く、貴重な一夜をありがとう。多謝。

色々な方々から祝福されてのち、センチュリー響にぼくを招き入れたマネージャーの柿塚さん、7年前「ポーコン」世界初演のコンサートを一緒に企画した作曲家の近藤浩平さん、そして、秋にセンチュリー響のコンサートのプレコンサートトーク企画に新曲を書く作曲家の菱田麻耶さんと夕食ののち、終電で京都に戻る。

今日は、何に驚愕したのでしょうか。まだ、言葉にならないですが、5年間の大きな成果を感じる演奏会でした。そのことの意味は、また少しずつ言葉にしていきたいと思います。しかし、日本センチュリー交響楽団との仕事は、まだまだ以下のように続きます。

1月30日 「世界のしょうない音楽ワークショップ」@大阪音大 
2月3日  「The Work」ワークショップ@清滝団地
2月8日  「世界のしょうない音楽ワークショップ」@ローズ文化ホール
2月9日  「世界のしょうない音楽祭」@ローズ文化ホール 野村誠作曲「青少年のためのバリバリ管弦楽入門」世界初演
3月2日  「ガムラン宇宙ミーティング」@豊中市立文化芸術センター 野村誠作曲「ルー・ハリソンへのオマージュ」が日本センチュリー交響楽団コンサートマスター後藤龍伸さんと、バリガムランGita Kencanaにて演奏

そして、6月には、野村+佐久間新さん+砂連尾理さん+日本センチュリー交響楽団+香港のi-dArtのコラボ舞台作品、冬には、イギリスのボーンマス交響楽団+ヒュー・ナンキヴェル+野村誠+日本センチュリー交響楽団の企画も予定してます。ますます、オーケストラの謎や問題に、入り込んでいくことになりそうです。それが、自分でも驚愕するところかもしれません。