野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

トラム下見

午前中は、i-dArtのスタッフ5人とトラムの下見。7月2日に、トラムを貸し切ってパフォーマンスをする。その際に、通行人の人とどこでどんなコミュニケートができるかを主に、下見。途中で、休日にフィリピン人が大挙して集う公園があり、そこでダンスチームが待っていて、トラムに向かってフィリピン人も巻き込みながらエールを送るなどできないか、などなど、みんなが色々アイディアを出す。あとは、トイレをどこで確保するのか、車椅子の使えるトイレはあるのか、などトイレの下見。5人とも女性なので、男子トイレの下見は、全てぼくの仕事になった。

JCRCに戻り、「點心組曲」第4楽章「MTR Remix」の9回目。今まで常に初登場の言葉を唱えていたカヤンが、ついに、今までに言った言葉が登場し始めた。前回登場した時と、どう違うのか、興味深い。

「點心組曲」第5楽章の6回目。この静かなアンサンブル。相変わらず静かなのだが、ちょっとずつ楽器を触り始めたり、反応が出始めたりして、今日は、そこに新メンバーが二人加わり、施設長もノリノリでテーブルを叩いたりして、少し様相が変わってきている。

「點心組曲」第6楽章「Drum'n Bell」の6回目。職員さんの指揮もいい感じ。職員さんにピアノを弾いてもらうと、本当にピアノの初心者のようで、それが功を奏して、みんなでピアノにチャレンジ。「連打の連弾」という鍵盤を連打する連弾の曲ができた。次回は2グループを合体させて、指揮をもっと充実させたい。

「點心組曲」第14楽章「Improvised Cantonese Opera」の8回目。今日は、「帝女花」の歌詞を教えてもらった。

マコトバンドAグループの2回目。このグループ、昨日よりもメンバーが増えて、凄かった。本当に天才の集まり。爆発ピアノ君が到着する前に、カネタタキ君が安定してゴングをタタキ続ける。しきり女王が、凄い勢いで叩く。こだわりタイコちゃんが、ジャンベとマレットを工夫して演奏し、カホンを指差し、あれをやらせろとアピールする。スマイルタイコさんは、バケツを叩きまくり、バケツがどんどん机の上を移動していく。木魚ポクポクさんが、木琴をポコポコ叩いていると、そこに爆発ピアノ君が遅れてきた。さっそく、アンサンブルを止めて、仕切ろうとするが、みんなコントロール不能。爆発ピアノ君の顔を立てるべく、ぼくが一緒に、みんなを静める。しかし、しきり女王が逆襲して、逆に爆発ピアノ君の演奏を止めるように身振りで指示をする。ディレクター二人になった!!爆発ピアノ君は、ぼくに助けを求めてくるので、ある程度は、爆発ピアノ君の意向を汲みつつ、しかし、しきり女王の仕切りに逆らえず、どちらにも従う八方美人作戦で臨む。その結果、とにかく、フリーインプロの達人のセッション以上に、凄い緊迫の力強い演奏がぶつかり合う現場になった。この人たちは、障害者でも、アマチュア楽家でもなく、お互いの価値観を譲らないこだわりのアーティストだ。この1000人の入居者がいる福祉施設の中から選りすぐりの強烈な人を集めてみたのだが、集団の中にいた時にはそこまで目立たなかった個性が、さらに際立ち、大変なことになっている。1時間のセッションは、本当に充実。

マコトバンドBグループも2回目。こちらは、耳が開いていて、合わせるのが巧い人の集まり。渋い職人気質の音楽家が回を重ねるとどう成長していくかが楽しみ。