野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

南Y島、モックさん、香港フィル

香港の福祉施設JCRCでの滞在も約2ヶ月。日本から友人が数名訪ねてきています。今日は、i-dArtのスタッフが、我々を南Y島に案内してくれました。フェリーで25分。車も高層ビルもない島での数時間の滞在。木々や鳥の鳴き声との束の間の時間。

島から戻り、JCCACへ。CCCDの莫昭如さんを訪ねる。JCCACでは、手作り市が開催中。数多くのアーティストのアトリエなど、100以上のスタジオから成るJCCACを莫さんの案内で廻って後、中国茶を飲みながらの束の間のディスカッション。どうして莫さんは、障害のある人との活動を始めたのか、との砂連尾さんの問いに、30年ほど前に、借金をいっぱいつくったから、が答え。30年ほど前に、アメリカの劇団と香港の劇団のコラボレーションで新作の舞台をつくる機会があった。それを演出した時に、莫さんは、それだけじゃ面白くない、アジアの複数国から俳優を招いて、多国籍シアタープロジェクトに拡大し、それを全ての国に巡回させた。非常に面白いプロジェクトになって、借金ができた。借金を返済するために、職につくことになった。その結果、障害者芸術協会の事務局で常勤プロデューサーになった。様々なプロジェクトの企画をしたし、ワークショップも企画したし、10年以上、その仕事をしたが、その組織も終わりがきた。それで、また、仕事を探さねばならなくなった。だから、自分でCCCDを立ち上げた。CCCDは、障害者アートだけでなく、もっと幅広く社会とアートの関わりをテーマに活動している、とのこと。

夜は、香港フィルのコンサート。アイヴズとバーンスタインをやった20世紀アメリカ音楽プログラムが前半で、バーンスタインでソロを演奏したヴァイオリニストが、アンコールでバッハを弾く。アイヴズとバーンスタインというプログラムで、アンコールにアメリカ音楽でもなく、20世紀音楽でもない、バッハを演奏してしまう。あまりにもプログラムに関して無頓着なソリストに、唖然とする。

深夜、日本の友人たちと語り合って後、就寝。