野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ドラムの振動を感じる

香港での朝。相変わらず、最高気温32度、最低気温27度の日々。今朝は、水戸芸術館での8月5日の公演「うつくしいまち」に向けてのメールでのインタビューに答えて、返信。ちなみに、公演情報はこちら。

http://www.arttowermito.or.jp/hall/hall02.html?id=1478

午前中は、「點心組曲」の追加楽章となるお年寄りとのバンド、第1回。認知症の方々が5人。認知症の方が素晴らしいのは、何度も繰り返しても、同じ新鮮さと感動を返してくれること。というわけで、「あなたの名前はなんですか?」と名前を尋ねる広東語「ネイギューマッイェーメン」を教わり、これをメロディーにして覚えて、何度、これで歌いかけて質問しても、自分の名前で歌い返して下さる。ぼくの広東語の勉強に、ちょうどいい。つづいて、「好きな食べ物はなんですか?」という広東語「ネイチョイーセッテイマー」もメロディーにして、覚える。これまた、何度歌いかけても、歌い返して下さる。有り難い。ということで、二つの広東語の歌を作った。年齢もお尋ねしたけれども、これは歌にせず。ちなみに、75歳、94歳、79歳、72歳、83歳の5人。あとは、皆さんに楽器も試してもらった。いい感じの1回目。

昨日のちまきを、イェンが持って来ていて、これを持って、メーリンなどのオフィスを訪ねてまわる。食べ物を配るのは、喜ばれて楽しい。

ランチの後、「點心組曲」第1楽章の「Happy Handsome Rock'n Roll」8回目。今日もノリノリのFさん。普段から、この歌を歌っているらしい。今日は、前奏を作ったりもして、マイクを使って歌えるかにも、チャレンジしてみた。

「點心組曲」第2楽章の「ドラム・カーニバル」の5回目。今日は、行くとバンドマスターさんがいない。彼女は前回までで、今日からは参加しないとのこと。施設のどういう事情か分からないが、バンドマスターさんは本当に必要なメンバーなんだけど、と強く要請したところ、呼んで来てもらえる。よかった。

ノリノリちゃんは、色々な音の響きを耳をつけて楽しんだりするのは、いつも通りだったのだけれども、ぼくに太鼓の表面を触れと、合図してきた。太鼓の面に手をのせると、他の人の叩く低音の振動で、太鼓が振動し、それが手に微かにビリビリと伝わってくる。ああ、これのことを伝えたかったのだ、と分かった。彼女は、前回は太鼓の打面が振動し文字が歪むのを楽しんでいた。今日は、振動そのものを触覚で楽しんだ。すごい感性だ。

ちなみに、ゲラゲラ木琴さんは、相変わらずゲラゲラ笑うが、木琴の演奏は回を重ねるごとに安定感が増している。カスタネットの魔術師は、地味だが、着実にカスタネットの音を味わっている。ダンサーさんの動きは、素晴らしさに磨きがかかり、パルスちゃんは、太鼓の演奏が安定感と持続力が増した。タンバリンさんが、無自覚に裏拍に絶妙に叩き、新入りさんは太鼓のリズム感がよく、そして、バンマスさんは圧倒的な安定感だが音量が弱いので、手ではなく、バチで叩いてもらったら、良いバランスに。次回は、バンマスさんに中国太鼓をやってもらおうかと思う。帰り際に、ノリノリちゃんの投げキッスがもらえたので、大満足だったのだろう。

その後、「點心組曲」の第3楽章、「車椅子四重奏」の5回目は、前回の延長で良い感じで、4つのセッションを終えることができました。