野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

香港の作曲家の動画

香港に来て、気がつくと40日が経過。残りの滞在も50日となって参りました。本日は、こちらに来て2度目の祝日で、お釈迦様の誕生日です。午前中は、先日買った本「古琴」の付属CDを聞いて、部屋でのんびり過ごしておりました。なんと、CD2枚もついていた。

午後は、まず、「點心組曲」の第5楽章「静かな五重奏」の3回目。ところが、このセンターは、金曜日に第12楽章の「キーボード・オーケストラ」をやっている施設でもあるので、ぼくが到着して、個室に入る前に、爆発ピアノ君に見つかってしまい、満面の笑顔で近寄ってくる。ということで、今日の1時間を、爆発ピアノ君とのセッション30分、「静かな五重奏」のメンバーと30分という形に仕切り直すことに、急遽、変更。

爆発ピアノ君は、ぼくと二人での演奏になると、爆発し続けるのではなく、急に静かになったり、また爆発したり、メリハリがある。表現が幅広く、ぼくの演奏にいろいろ合わせたりする。沈黙の後、ぼくが人生で聞いた最大音量のオナラを放った。やはり爆発なのだ。今後、毎週、彼とのマンツーマンのセッションもしたい。

30分経つと、彼が腕時計を指差す。ぼくと職員さんの英語でのやりとりを理解していたのかな?ということで、「静かな五重奏」のメンバーが入ってくる。当然、彼は交代で出て行くのか、と思いきや、自分はやる気満々。ということで、後半は、「爆発ピアノ君+静かな五重奏」に変更。メンバーの一人が好きという「六合彩」という音楽の譜面を書き起こしてきたので、これを弾いてみる。その曲が好き、という人が、猛烈に反応する、というよりも、爆発ピアノ君が、この楽譜をやって、という感じで、何度も譜面を指さしてくるので、それを弾く。即興を始めると、すぐ爆発ピアノ君が、譜面を指さしてくる。そして、その譜面を弾いているぼくの演奏に合わせて、爆発ピアノ君が即興で弾く。「静かな五重奏」のメンバーが、いつもよりも、笑顔だったり、緊張感が違う。3回目だから、リラックスしてきたのか、「六合彩」を弾いているのがいいのか、それとも爆発ピアノ君の演奏がいいのか、理由は不明。でも、なんだか、不思議な交流だった。

「點心組曲」第6楽章の「相撲ソナタ」3回目。今日は祝日で、東チームと西チームに分かれてやることができず、合同の大アンサンブルに。難聴であまり聞こえないと言われている人が、前回に続いて、太鼓に熱中。しかも、太鼓を少し傾けると、音が変わることを発見している様子だった。前回、指揮者みたいな感じでぼくの目を見た人は、今日も指揮者だった。今日は、トーンチャイムを試してみたけれども、音は面白くても、素材が堅くて長いので、人によっては、力一杯振り回して危ない。無闇に渡せない楽器だ。

「點心組曲」第14楽章(現時点では「無題」)の2回目。昨日に続いて、広東語で名前を尋ねる歌?広東語で好きな食べ物を尋ねる歌の2曲を歌う。さらには、「みなさん、こんにちは」の意味の「ダイガッホウ」から始まる歌づくりもした。お年寄りの方々が、全部は歌わないけれども、時々、勢い良く歌って下さる。いい歌ができた。そして、その後、楽器のアンサンブルも楽しんだ。タンバリンや鈴やウッドブロックなどのアンサンブルが、あまりにマーチなので、モーツァルトの「トルコ行進曲」を弾いてみる。今までで最も、この曲が「トルコ行進曲」だと感じた。これは、トルコの軍楽隊が進んでいるぞーー。その後、鈴の音から、季節はずれの「ジングルベル」もやってみる。そして、トーンチャイムのアンサンブル。なんとも言えない響き。

作曲家のアルフレッド、コンユが、作品の動画を教えてくれる。彼らが中国音楽やアジアの音楽とどう向き合っているのか、面白く鑑賞する。