野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

有朋自遠方來 不亦樂乎

香港のJockey Club Rehabilitation Complexという巨大福祉施設内のアートプロジェクトi-dArtの招聘で3ヶ月のレンジデンス中で、今日で4週間。現在、14曲から成る「點心組曲」を展開中。

本日は、第9楽章の「ピアノとソファのための間奏曲」の2回目。前回、初対面だったピアノソファ君。ピアノを少し弾き、すぐソファに寝転がる。彼のピアノのタッチが独特なので、彼が演奏する時は、できるだけ芸を盗むように注意して観察して学ぶ。また、今日は、彼が曲を弾いている時に、それに合わせてユニゾンで共演されてもらうことに成功。距離感が少し縮まった。その後、ピアノソファ君は、ソファに笑顔で寝転がっているので、彼の持っているピアノ曲集の譜面の中から、何曲か弾いてみる。嬉しそうである。その後、彼が好きなアイドル歌手の歌の譜面をゲットし、弾いてみると、ピアノソファ君は、そのアイドルのCDを持って来てくれた。ピアノとソファの間で、今後どのような交流が続くのか楽しみ。

十和田市美術館の里村真理さんが、突如、香港にやって来てくれた。野村とi-dArtの活動に興味を持って視察に。到着すると、さっそくベリーニが施設の案内やi-dArtの活動について説明。メーリンとベリーニと里村さんとランチ。初の日本からの来客との楽しい交流。

「點心組曲」第10楽章の「Body Percussion Dancers」の2度目のセッション。今日は、さいたま岩槻の「古式土俵入り」の動きを、ダンスワークショップのメンバーと少しやってみた。動きを正確になぞってもらうというよりも、なんとか真似してもらおうと動きをややオーバーに示し、それに合わせて声を出しながらやる。皆さん、一生懸命真似してくれる。それが、とんでもない渦になっていき、何かが清められるような感覚が全身に満ちあふれてくる。
ああ、やはり、これは、地鎮の儀式なのだと、体感。

その後、マキシカとグレースの指導によるダンスグループを見学し、前回、少しだけ皆さんの群舞に演出させていただいたものの練習にも加わる。最後、ここで簡略化された香港版「炭坑節」もみんなで踊る。

ベリーニと里村さんと夕食で、意見交換いっぱい。里村さんは質問上手なので、ベリーニから面白いエピソードや考えを引き出していた。