野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ビッグバンドと授賞式の裏側

午前中は、十和田からの来客である里村さんを案内。アバディーンの魚市場や灣仔のセレクトブックショップArt & Culture Outreach、i-dArtのギャラリーなど。ブックショップの連安洋さんによると、東日本大震災当時に秋田にいた香港の写真家による福島の写真集をめぐるトークイベントが、昨夜ここで開催されていた、とのこと。いろいろ話し込む。

「點心組曲」の第11楽章の「広東語ジャズビッグバンド」のつもりでの第1回目の30人のセッション。行くと、既に色々な楽器があり、太鼓やシェイカーなどを各自が鳴らしている。それが、どう聴いてもジャズというよりは、アフリカン・ドラミング。複雑なポリリズム。なので、アフリカ音楽を意識しながら、ピアノやシェイカーやジェンベを演奏した。すると、本当に凄い複雑なグルーヴが生まれて、驚いた。

他のビートでも、そうなるのか、念のため試しに、「なんちゃってブルース」や「行進曲」や、色々試してみたが、しっくりはこない。ということで、この楽章は、アフリカン・グルーヴなどに改名することになりそう。

最後には、野村が弾き語りで、即興で歌った。日本語で歌った。知的障がいと言うが、広東語でも英語でもなく、日本語で気持ちをこめて歌うと、彼らは言葉の意味が分かっているかのように、反応してくれる。少なくとも、ぼくには、そう感じられたし、里村さんもそう言っていた。ノンバーバル・コミュニケーションの達人がいっぱいいた。

その後、「點心組曲」第12楽章の「Daily Noise Symphony Orchestra」の初回。ここは、逆に、施設が楽器をあまり持っていない。大きさの違うタンバリンがたくさんあった。「こんにちは」とか「ネイハオ」という挨拶の言葉から歌が自発的に生まれた。また、後半はキーボードへの興味を示す人が数名、興奮し、キーボードを占拠し、驚異的な集中力で演奏を続けた。ということで、次回からは、歌づくり→タンバリンオーケストラ→複数のキーボード、という3プログラムを試してみたい。タンバリン・サークルとキーボード・スクエアと呼んでみたい。

i-dArtのメンバーは、本日、授賞式。授賞式の舞台上での振る舞いの練習をしているのに、ぼくも少し付き合い、政府高官の役で、トロフィーを渡す役を演じた。みんないってらっしゃーい。

その後は、里村さんに、JCRCでの中国太鼓の活動、i-dArtのギャラリー(ケネディータウン)を案内し、里村さんと夕食後、見送る。この2日、久しぶりにいっぱい日本語も話すことができて、また、考えが色々違った回路で整理できた気がします。ありがとう。