野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

香港に到着

京都の家を朝に出て、関西空港を昼過ぎに飛び、香港に夕方着きました。無事、入国を済ませ、迎えに来てくれたi-dArtのベリーニと1年7ヶ月ぶりの再会。空港からは、東華三院のバスで移動。運転手の方とベリーニとぼくだけで、この車椅子の人が自動昇降で乗れるバスで移動。ランタオ島を進み、青衣島を通り、九龍を通って、香港島へ。

話をしていて分かってきたこと。10年前、ベリーニが大学1年生だった時に、この巨大病院が、初めてアートのイベントをしようと考えた。その時、偶々アートの学生に募集があり、ベリーニが関わった。そこで行ったアート活動が好評だったので、そのまま継続することになった。当時は、香港で障がいのある人がアートの活動をすることが皆無だった。ある種の先駆的な実践例となり、徐々に、新たなプログラムが立ち上がっていく。助成金などもとって、i-dArtというインクルーシブ・アートのプロジェクトとして、スタートすることになり、さらにはショップやギャラリーも始めた。今年には、二つ目のショップも開いた、とのこと。ベリーニは、本当にゼロから立ち上げて、ここまでやって来たのか、と思うと、凄い実行力だと思うが、「私は運がよかった。ボスと環境に恵まれた」と言う。

ゼロから切り開いてきた彼女だし、前例がないことをずっと実現してきたのだろうが、今回、病院の中に、日本からアーティストを呼んで、3ヶ月も生活させる、というのは、また、特異なことだと思う。

東華三院というのは、病院やリハビリセンターを経営しているだけでなく、教育も葬儀やお墓も経営していて、レストランなんかも経営している巨大組織。今回、ぼくが滞在するのは、その中のJockey Club Rehabilitation Complexで、Jockey Clubというのは、競馬場。競馬で儲けたお金でチャリティで、リハビリセンターに出資しているスポンサー。色んな人が馬券を買ってくれたお金のおかげで、ぼくが香港に招かれたのか、となる。

このリハビリセンターは、20以上の入所施設の複合組織で、全部で5棟のビルから成り、入所者だけで1000人いて、スタッフが1000人、通所での利用者が1000人いる超マンモス施設らしいことは分かった。到着し、玄関を入ってすぐに、絵画や陶器の作品が展示されている。日本で言うところの5階にある娯楽室の隣が、ぼくの居室。この階のこの辺りは、事務所や宿直室などがあり、入所者のエリアは、違うところにありそうだ。

ということで、ベリーニと、プリスカと夕食。ゆっくり休もう。