野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

伝統のチカラ、芸能のカタチ

若尾裕さんの「サステナブル・ミュージック」という本をパラパラ読んでいたら、イギリスの実験音楽の作曲家コーネリアス・カーデュー(1936-1981)についての項目があって、ジョン・ティルバリーによるカーデューの伝記が1000ページ以上ある。その本は手元にあるので、見てみると確かに1000ページ以上ある。若尾さんの言う通り、45年の人生をまとめた伝記としては、随分と厚い本だ。で、それだけ分厚いと、詳細に書いてあるのだろうと思い、ロンドンでいつもぼくが泊めてもらっている作曲家のマイケル・パーソンズ(1938-)から直接聞いたエピソードを探してみる。例えば、スティーブ・ライヒと一緒に、カーデュー、マイケル・パーソンズマイケル・ナイマン、ギャビン・ブライヤーズとヨーロッパツアーしたことなど、載っているだろうか?ページを探していくと、ライヒとツアーしたことが、少し触れられているだけで、全然出てこない。ぼくがマイケルから聞いている話は、こんなに厚い本になってものらないのか、と思うと、驚きであり、逆に言うと、貴重な話を聞いているのだなぁ、と思う。

マイケル・パーソンズの家には、1994年ー95年にかけて、何度も泊めていただき、98年にも泊まり、2001年にも泊まり、2004年から2010年は、ほぼ毎年のように泊めていただくか訪ねるかして、2012年にも泊めていただき、今年2017年に5年ぶりに再会し、3月と4月に泊めていただいた。マイケルの家に宿泊した日数は、トータルすると1ヶ月を越えると思う。その間に、様々な話をして、その中に、カーデューやスクラッチ・オーケストラの話もたくさんある。マイケルと過ごしている時間の大切さを、つくづく感じる。

イギリスの作曲家のHugh Nankivellから、本をつくるプロジェクトの提案があり、ひとまず、ぼくがヒューから何を学んだかについて、書くことにして、ひとまず、今日は今日で1時間だけ執筆する。毎回1時間執筆することで、何ができあがるか、やってみようと思っている。

夜はガムランの予定だったが、中止になったので、インドネシア関係のことで過ごそうと思い、国際交流基金アジアセンターの遠藤雄さんが関わっておられるプロジェクトのサイト、木ノ下裕一くんと池澤夏樹さんの対談が載っている「伝統のチカラ、芸能のカタチ」というサイトを見て、遠藤雄さんの素晴らしき仕事に感銘する。日本文学全集を読みたくなったし、ぼく自身の「Cheap Imitations」のことも重ねながら、読んで楽しむ。木ノ下くんとも久しぶりに話したいと思った。

http://dento.jfac.jp/