野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

脱個性かな

国際交流のプロジェクトのアドバイザーをしていて、その打ち合わせ。

交流とクリエーションの関係について、いろいろお話させていただきました。

それから、現代音楽って何ですか?と聞かれて、ぼくの理解ではと、率直に答えてみました。まぁ、だいたい大雑把に言えば、西洋現代音楽の主要なテーマは

1)音
2)人(からだ)
3)社会や文化

となるわけです。

音楽はずばり「音」というのが、1)です。その「音」とか「音色」とか、となって、「ノイズ」とか、特殊奏法とか、エレクトロニクスとか、様々な「音」の探求というのが、あるわけです。

ところが、こうした「音」のストイックな追求の多くに、人間が音楽を奏でるという「演奏」という行為が欠落するケースがあり、2)の立場、人が奏でる行為こそが音楽だ、と考えて、「パフォーマンス」、「行為」、演劇的な演奏などに特化した立場もあります。

それに対して、音楽とは、「物理的な音の現象」や、「演奏するという行為」だけでなく、コミュニティが持つ文化である、と考える人もいて、様々なイディオムやルールの上に成り立つと考える人もいる。

とか、そんな具合のことを皆さん、取り組んでおられると思いますよ。

そして、この3つのテーマに取り組む上で、さらに、音楽作品とは「楽譜」であると、とことん緻密に楽譜を書いていく立場と、より即興性や関係性を重視する立場の間で、様々な立ち位置があるのだと思います。

野村さんのテーマは、何なのですか?と聞かれて、うーむ、「脱個性かなぁ」と答えておりました。個人の作品という概念に縛られずに、音楽を創造していきたい、と思うので、、、、。とは言っても、まぁ、野村誠というものに縛られているのかなぁ、とも思いますが。

夜は、8月の両国門天ホールでの演奏曲の解説文の作文などしておりました。