野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「相撲ノオト」世界初演

朝起きて、出かける前に、少しだけ作曲作業。3月1日の「世界のしょうない音楽祭2020」で演奏する新曲。

 

家を出てバスに乗ると、バスの中でも作曲作業をしていたら、熱中してしまい、乗り過ごす。阪急で大阪に行くつもりが、そのまま京都駅まで行って、JRで大阪に。

 

フェニックスホールに着き、野村の新曲「相撲ノオト」のリハーサルに立ち合う。ますます、良い感じ。昼食後、ファミレスに飛び込み、そこで1時間ほど作曲作業ののち、フェニックスホールに戻る。

 

そして、會田瑞樹のヴィブラフォンを聴いた。一曲目の薮田さんの作品でヴィブラフォンの3オクターブの間を見事に動きまわり、コンサートの序章を華々しく飾る。2曲目の近藤さんの作品は、静かで美しいヴィブラフォンの響きを味わい尽くせる音の瞑想の時間。3曲目の野田さんの作品は、コントのような笑えるパフォーマンスでありながら、非常に微細な音の差異を味合わせていただき、様々な小道具も登場。野田さんも共演者として登場。4曲目の麹場さんの曲では、様々な感情が波が押し寄せるように湧き上がり、響いては消えていく。5曲目の木下さんの曲で、振動させては止め、振動させては止めて、止めて、止めて、止め続けた最後に、響かせる。本当に、作曲家が違うとヴィブラフォンは、全く違う音色の楽器になる。全く違う作風の曲をどれも味わい深く堪能できるのは、演奏がそれぞれのテーマに真摯に取り組んでいるからだ。それぞれの作曲家とのトークも面白い。

 

休憩後の1曲目が野村の新曲だった。土俵入り、初々しく緊張感があり、しかし、慌てず、しっかりとした土俵入りだった。音も動きも、しっかり味わえた。空気を振動させるだけでなく、世界を振動させる音と動きだった。取組には、観客の笑いもあり、演奏者の様々な即興的な工夫もあり、見どころ聞きどころ十分。そして、大一番の熱演を経て、ストニコが美しく終わっていった。素晴らしい初演。またまた、再演を期待します!

 

2曲目の坂田さんの作品では、シンバルやアルミフォイルなどのビリビリとしたサワリが特長。3曲目の中村さんの作品は、聞こえないくらいの微弱な音をソフトマレットで延々とトレモロする冒頭部分に耳を傾ける時間が、尊い。最後の佐原さんの作品は、様々な要素が混在するメドレーのようで、それは今日というコンサートを走馬灯のように思い出す時間だった。

 

いろいろ再会できた方々もあり、打ち上げでも作曲家の方々と交流もできて、よい時間。中村典子さんは、以前、相撲をテーマにした作品を書いたことがあるとのことだった。