野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

コロナだから、ディスタンスだから、生まれてくる数々の発想

作曲日記なのに、作曲の話と同じくらい相撲の話が出るようになっている。最近、ますます、音楽と相撲の間に境界を感じないくらい相撲を音楽だと思っていて、今日も相撲という芸能を音楽として味わった。今朝は、土俵祭り。

 

大相撲9月場所が明日から始まるので、その前日の今朝は土俵祭りが行われ、それをYouTubeで見る。土俵祭りは相撲の神様を土俵に招く儀式。行司さんが神主になって、祝詞をあげたり、4隅を酒で清めたり、粛々と行われる。土俵祭りを参照した作品を、JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)で作っており、今朝は、大相撲の土俵祭りを改めて学び直す機会にもなった。

 

土俵祭りが終わった後、「四股1000」。2016年の全9回行ったJACSHAフォーラムのテープ起こしを全て読み終わる。これで本が一冊できるなぁ。2016年10月にタワーレコードの冊子intoxicateに野村が寄稿した千代の富士追悼の文章も音読。相撲は音楽であり、音楽は相撲だ、と始まる文章。気合いを込めて書いた当時を思い出す。

 

自民党の総裁選をやるらしい。立憲民主党と国民民主党が合流して代表選や党名の投票も行われたらしい。国民の声を聞くとか言っているけれども、政治家や政党は、マスメディアやSNSなどを使って、自分たちの声を聞かせることには努力を重ねるが、逆に、国民の声を聞くのに、十分努力を払っているのだろうか?ツイッターで自分たちの考えを発信することはあっても、意見を聞きたいので、お聞かせください、と意見を吸い上げる仕組みをどれだけ作ったのだろう?、などと書くのは、このブログで何度も書いたけれども、政治を変えられると思っているから書いている。ぼくが書いている政治を変えられるは、パワーバランスを変えるとか、誰が権力を握るとか、そういう話ではない。クラシック音楽とか、オーケストラなんて、一部のマニア以外、関心がない分野で、それでも補助金などがあって成立してきた分野だったのだろうが、それでも、このままではマズイとなって、ワークショップをするなど、自分たちの活動を体感できる参加型プログラムを作っている。政治の様々なテーマを本質から体感できるようなワークショップをファシリテートする、そういう政治家が出てきて、政治に違った眼差しで接することができるようなプログラムを始めること。ワークショップという手法は、20年ー30年前に、アートの分野でも、教育の分野でも、様々な分野で活用されるようになってきている。政治の分野でも、誰か切り開いていこうよ。ここに書いても、のれんに腕押しな気もするけれども、こんなところで発した声も届くような政治の仕組みが必要だと思うから、まず、ここで発言する。

 

ここ数年、西洋音楽のハーモニーが趣味になってきて、暇ある時に独学している。美術で作家ごとに違った色彩感があるように、作曲家ごとにハーモニー、和音の色彩感覚は様々。ぼく自身のハーモニーの感覚と随分違う色々な作曲家の和声法を参照するのは楽しい。今、参照しているのは、スクリャービンとカーター。James M. Baker著「THE MUSIC OF Alexander Scriabin」(Yale University Press)は譜例も多く、ほんの数ページ読むだけで、スクリャービンの和声に発見がいっぱいある。面白いなぁ。Nicholas Hopkins/John R. Link編「Elliot Carter HARMONY BOOK」(Carl Fischer)は、作曲家エリオット・カーターの和音のカタログ。6音音階による3和音を全て書き出すとか、少し眺めるだけで面白い響きに出会えて楽しい。

 

Amazon | The Music of Alexander Scriabin (Composers of the Twentieth Century Series) | Baker, James M. | Reference

 

Amazon.co.jp: Elliott Carter Harmony Book: Hopkins, Nicholas, Link, John F.: 洋書

 

JACSHAの会議で、里村さん、樅山さんと話す。新型コロナウイルス禍で、色々なハードルがある。そのハードルを障害と考えるのか、それとも、そのハードルは創作に深みを与える仕掛けと考えるのか、と言えば、ぼくらは後者を選択したい。例えば、対面でのワークショップができないのだったら、放送室を使って、給食放送の時間に放送ワークショップができるかもしれない。遥か遠くの運動場に巨大な楽譜を描いて、遠くの教室とコミュニケーションすることができるかもしれない。コロナの困難は、新たな発想を生み出すためのきっかけになるかもしれない。どこかで諦めてしまうのではなく、こういう状況だからこそ、安全を確保する上で何が可能かを見つけていきたいと思う。

 

夜は、アッセンブリッジ名古屋の岩田彩子さん、北口大輔さん、鈴木潤さんと打ち合わせ。日本センチュリー交響楽団の首席チェリストの北口くんだが、ジャズでも、ボサノバでも、現代音楽でも、クラシックでも、即興でも、何でもやる名手。今回も単なるリサイタルというよりも、北口、鈴木、野村で、思う存分遊びまくりたい。で、考えたタイトルが、

 

《北口大輔がチェロリサイタルするかと思いきや・・・・野村と鈴木が乱入してみた!ークラシックジャズチャンプルー》 

 

という案が思いつき、バッハも、レゲエも、ボサノバも、ジャズも、なんでもありの闇鍋みたいなコンサートになるよーー。思いっきり遊ばせてもらおう。名古屋のみなさーん。待っててね。ワクワクの打ち合わせ。