野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

野村誠のピアノじゃあにぃ「あっちの耳 こっちの耳」

山形ビエンナーレ。本日は、「野村誠のピアノじゃあにぃ あっちの耳 こっちの耳」。絵本作家ミロコマチコさんの展示「あっちの目 こっちの目」展示会場にて、ピアノを弾くのだ。ミロコさんの展示は、山形の人々から取材した動物に関する体験談をもとにして、クマ、ヘビ、ウサギ、トリたち、コウモリ、カモシカの6話を選び、それを人間側の視点だけでなく、動物側の視点でのお話をミロコさんが創作して、「あっちの目 こっちの目」として創作。動物のオブジェが、動物のストーリーが描かれる山車をひく、という展示で、力作。楽しさ満点。
野村のコンサートは、野村ソロの予定だったが、ミロコさんがスライドで、擬音語などをプロジェクションして、参加したいとご提案いただく。楽しみ。
360度全方位、超満員のお客さんに囲まれて、その中心にピアノ。小さなお子さんもいっぱい。楽しいピアノ即興ライブの始まり始まり。まずは、「クマ」のお話を話しながらピアノを即興で演奏するが、次第に、言葉から離れて音の世界に展開していく。夢中で、曲調がどんどん変化しながら、30分くらいピアノを弾きまくる。その間に、ヘビになったり、うさぎになったり、どんどん進む。「指50本ある」とミロコさんのスライド。そして、360度のお客さんの真ん中で、ピアノを回せないかと思ったの、その場で提案するが、重要文化財の建物の床を守るためにも、「無理!」と主催者からNGが出る。そりゃそうか。
じゃあ、お客さんに回ってもらおう、と言ってみたものの、みんなで席替えも難しい。芸術監督の荒井良二さんに「どうしたらいいかな?」と相談すると、「椅子をなくしちゃえば」と言うので、皆さんの協力で、椅子を撤去。床に座ったり、立ち見だったり。ピアノの下にも入っていいよ、とピアノの下でも聴いてもらう。ぼくも、回転しながらピアノを弾いたり。色んな姿勢でも弾いたりする。でも、姿勢は変えても、音楽のテンションは途絶えずにつづく。ミロコさんにも、いっぱいスライドでツッコミを入れられる。お客さんとの距離も近づき、これは、観客と即興のピアノ連弾してみれる距離感になったのではと思い、提案。ポスターになっている女の子が最初に立候補。女の子のデタラメ弾きとの共演、楽しいのだが、これで観客をも楽しませるのは、ぼくの仕事。なかなかやりがいのある。続いて、荒井さんとの連弾で、拍車がつき、次の大人の女性も面白い演奏。沖縄から来たシホさんも立候補。共演。最後はお母さんの膝の上の子どもとも共演。デタラメ弾きの個性も人それぞれなので、音楽も七変化。最後は、ピアノソロ。動物さん、ミロコさん、みなさん、ありがとう。アンコールもあって、子ども時代の動物をタイトルに持つピアノ曲「タヌキとキツネ」を弾いて、終わる。ミロコさん、荒井さん、ありがとう。
山形ビエンナーレの展示を午前中に1時間くらい、午後に1時間半ほど見ました。荒井良二さんの展示も凄いボリュームの新作の数々ですし、展示を見るのに、2時間半とかでは全然足りない。荒井良二は芸術監督だけど、封の監督は試合に出ないけど、荒井良二が大活躍の「荒井良二まつり!」。新作焼き物も、新作絵画も、映像も、絵本原画も、いしいしんじとのコラボも、ドローイングも、黒板に書かれた言葉も、書も、荒井良二だーーー!!必見!!
スタッフの一人は、10年前に小学生だった時に、えずこホールで野村を見ているそうで、今は大学生。10年ぶりの再会。