野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

相撲の誕生

長谷川明著「相撲の誕生」という本を読んでいますが、これが大変、面白い。新田一郎著などで、「相撲の歴史」について色々読んでいたわけで、大雑把な流れとして、飛鳥時代平安時代に、宮中で行われた「相撲節会」という儀式があり、そうした所から、日本全国に広がった神事相撲があったり、辻相撲があったりして、そうしたものを江戸時代に洗練し職業化/専門家し、現代の大相撲まで繋がる流れ、というのがあるわけです。例えば、相撲節会に特化した本として、「相撲節会

相撲節会(すまひのせちえ)―大相撲の源流

相撲節会(すまひのせちえ)―大相撲の源流

のような本があり、これはこれで大変面白い。田楽の起源を探っていくうちに、相撲節会に辿り着いたというわけです。また、現在に残る様々な神事相撲を調べることから、相撲の起源に迫るのが、「相撲の民俗史」

相撲の民俗史 (東書選書)

相撲の民俗史 (東書選書)

で、これも数多くの神事相撲を考察していて、大変面白いのです。しかし、この長谷川明さんの「相撲の起源」は、数多くの文献にあたりながら、「相撲節会」が始まる以前の日本における相撲の起源について論じている大変面白い本です。相撲は朝鮮半島を経由して北方から来たのか?それとも、南の島から九州南部を経由してやって来たのか?また、中国大陸における相撲は、いかなるものだったか?非常に面白い考察があります。

相撲の誕生 (新潮選書)

相撲の誕生 (新潮選書)

中国の随、唐以前の相撲を調べていくと、次第に、中国の雑技に近づいていきます。折口信夫が「演劇の昔の伝統を尋ねて行くと妙なことに他には行かないで相撲に行ってしまふことです。これは日本の演劇の正当なものなのです。」と「日本藝能史六講」の中で言っていますが、その相撲の昔を調べていくと、妙なことに雑技に行ってしまうところが面白い。せっかくなので、「中国芸能史」をめくると、

中国芸能史―雑技(サーカス)の誕生から今日まで

中国芸能史―雑技(サーカス)の誕生から今日まで

色々、相撲が出てきますし、図版もあります。