野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Slamet Abdul Sjukur

インドネシアの現代音楽の父とでも言うべきSlamet Abdul Sjukurが、永眠されたとの知らせ。1935年生まれで、今年80歳になるけれども、まだまだ元気でいると思っていましたが、、、、。大変、ショックです。

フランス留学中に、オリヴィエ・メシアンに師事したスラマットは、アカペラ合唱曲「口ガムラン」、「Game-land」という金管アンサンブルなど、ユニークな作品を発表してきました。メメットさん、スボウォさん、など多くのインドネシアの作曲家に多大な影響を与えてきたインドネシア現代音楽界の先駆者です。1996年にジャカルタで「踊れ!ベートーヴェン」を聞いていただいて以来、仙台、名古屋、東京、ジャカルタ、スラバヤ、ジョグジャカルタと、何度もお会いしてきましたし、彼の独特の毒舌が大好きでした。愛があるから毒舌ができるし、嫌味が言える。彼の厳しい言葉は、常に愛に溢れていました。若い人のパフォーマンスを観て、あまりにつまらなかった時、「素晴らし過ぎて、涙が出そうだ」と皮肉を言ってみたり、「新し過ぎて、ぼくには理解できない」と言ってみたりします。でも、そうした皮肉は、常に期待であったり、応援歌であったりすることを、ぼくは知っています。最近の若者は、鶏肉の代わりに靴下の唐揚げにしてソースかけたら、分からず食べるんじゃないか、なんて言うのがスラマットでした。本質の大切さを常に見ている人でした。そして、ユーモア100%でした。まずは80年間の人生おつかれさまでした。ごゆっくりお休み下さい。ご冥福をお祈りします。


そして、本日、「瓦の音楽」のCD音源を入稿しました。CDのデザインも校正がほぼ終わりです。「瓦の音楽」のCD、スラマットにも聞いて欲しかったなぁ。天国にも郵送しよう。スラマット、聴いてみて下さいね。

CD音源入校を祝して、やぶさんと祝杯。そして、スラマットの譜面を引っ張り出して眺めて、故人を思っています。