野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

台風通過

京都は、台風直撃です。久しぶりの暴風雨。こんな天気なのに、ディディエ・ガラスとキャストの方々は、京都芸術センターでリハーサルをしているのでしょうか?きっと、リハーサル中止の電話が、アトリエ劇研の杉山さんからかかってくるのではないか、と言った途端に、電話が鳴った。「あ、杉山さんだ。」と言って電話をとると、全く別件だったのですが、杉山さん違いだったのです。それは、東京は足立区での千住のプロジェクトで、重要なスタッフの一人であった杉山さんの訃報でした。来世への旅立ちは、突然訪れるのでしょうが、しかし、余りにも若く突然の旅立ちの報に、言葉を疑いました。今は、ただただ、故人のご冥福を祈るばかりです。合掌。

結局、台風でも稽古は中止になっていないようなので、ぼくとやぶさんは、台風が通り過ぎた4時頃に、タクシーで追加の様々な楽器を搬入しつつ、稽古に加わりました。稽古場には、ずぶ濡れの服がいくつも干されていました。こちらは、広島から持ち帰った瓦楽器が活躍しまして、ディディエも気に入ってくれました。他に、トイピアノ大正琴やボンゴや、色んな物を持って来まして、音の色彩が増しました。ただ、台風と湿気は凄く、フレームドラム類は、全くもって、皮の張りが湿気でふにょふにょで、ろくに音が出ません。ペットボトルは湿気の影響も受けません。もともと飲み物を入れているわけだから、当たり前か。

それにしても、クリエイションの場は、本当に面白い。打楽器アンサンブルも本当に楽しい。瓦の音色もいい。そして、ダンスと合わせて音を出すのは、本当に楽しい。ついつい色々やって遊んでしまいます。そして、ふざけたり遊んだりしたことを、意外にディディエも喜ぶので、また遊んでみる。そういう相乗効果が続いています。

稽古後の一コマ。京都という観光地に住んでいると、多くの観光客の方々に出会います。観光に来られている方は、ホリデーで休暇で、ストレス発散で開放感いっぱいで来るのでしょうが、こちらは日常。そうした日常の場で、節度なく発散されると、ちょっとげんなりします。しかし、猛烈に働いて、束の間の休日で京都に来て、興奮して浮かれていて、周りが見えなくなっているとしても、それは仕方がないのか、とも思いますが。しかし、自分も旅行に出かけたら、ホリデー気分で現地の人に気配りできているだろうか、と自分のことも見直さねば、と思ったり。