野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ディディエ・ガラスといしいしんじ

気がつくと9月。畑に行こうと思うものの、延々と降り続ける雨。梅雨かと思います。全然暑くないし、どうなっちゃんでしょう。

本日は「ことばのはじまり」の稽古はありませんが、本番まであと3日なので、楽器の搬入でした。アトリエ劇研の杉山さんが車を出して下さり、京都芸術センターからアトリエ劇研へと運びました。

野村が使う楽器は、ソプラノ鍵ハモ、アルト鍵ハモ、アンデス(鍵盤リコーダー)、トイピアノ、フレームドラム、ウッドブロック、瓦楽器、笛、ペットボトル、ドドンさん創作楽器、クンプール(ガムランの銅鑼)で、やぶさんが使うのは、グンデル(ガムランの鉄琴)、ルバーブガムランの胡弓)、ダルブッカ、ゴピチャンド、瓦楽器など。結構、たくさんなのです。

アトリエ劇研では、「ことばのはじまり」公演に向けて、舞台装置のセッティングなどが行われていました。ディディエと舞台監督、照明スタッフらが、なんとも楽しそうに和気藹々と作業をしていて、和みました。

いしいしんじさんの「その場小説」を開いて、第44話「バカ」を読む。すると、今ディディエと作っている「ことばのはじまり」の「ことば」について語っているような場面に出くわした。

わしはまわりを見渡してみたのだ。ビールを飲んでいるオヤジ、キムチをつまみながら話しているおネエさん、そういう人たちのあいだに、なんだか輪郭が透き通った人たちが見えてきたり、消えていったり、まるで蠟燭の火みたいなのだ。
「先輩、オレ、バカ大に来てわかったことがあるんですよ」
「なんなのだ」
「絵とか音楽とか詩とかそういうのは、全部ことばなんですよ」
「そうそう」オカマが引き継ぎ、「それも普段駅や会社やお店で使ってることばじゃなくて。そういう普段のことばって、あっちのほうに届きづらいんですよね」
 フーン。わしは考えたがよくわからない。
 ヒヨコがピヨピヨいいながら「絵、音楽、詩、そういうことばって本気になればなるほど、バカ大では優等生だけど、世の中じゃバカでしょ。」
「ウーン」
「でも、そのバカのことばって、わりとあっちによく届く。ずっとずっと原始人のころから、そういうもんなんじゃないのかって、オレ思うんですよ」

いしいしんじ「その場小説」(幻冬舍) pp.292-293

いしいさんの小説は、ディディエの舞台の参考図書になり得るなぁ。




ディディエ・ガラス ことばのはじまり

9月4日 19:30-
9月5日 19:30-
9月6日 14:00-/19:30-
9月7日 14:00-
9月8日 14:00-

前売:2,500円
当日:2,800円
学生:1,800円(前売/当日とも)
こども(中学生以下):1,000円(前売/当日とも)

会場:アトリエ劇研(左京区下鴨塚本町1)
お問い合わせ:アトリエ劇研:info@gekken.net (075−791−1966)
http://gekken.net/kotobanohajimari/

作・演出:ディディエ・ガラス
出演:森川弘和、坂口修一、小島功義、松尾恵美、きたまり
音楽:野村誠、やぶくみこ
演出アシスタント:中筋朋
照明:吉本有輝子
舞台監督:浜村修司
宣伝美術:永尾美久
制作:杉山準

みなさん、お待ちいたしております。是非、劇場に足をお運び下さい。