野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

千住の1010人

本日は、本当に、多忙な一日でした。ぼくは、「忙しい」のが嫌いなので、こんなことは滅多にないはずなのですが、不本意ながら忙しかった。朝から取材、会場でリハーサル後、昼も取材。14時からトーク&コンサートの後、打ち合わせ後、16時からワークショップ。一昨日に新作「千住の1010人」を書き上げたところで、既に全精力を注ぎ込んだ後なので、そもそも余力があまり残っていなかったのです。ふらふらの状態でも、取材されれば、ついつい喋ってしまいますし、打ち合わせにも熱がこもるので、気がつくと、意識朦朧とする中で、コンサートとワークショップをしました。これから2ヶ月半は、東京に来ることがないので、できることは全部やっておこうと、頑張ったのですが、千住のスタッフも、だじゃ研のメンバーも優秀なので、そんなに頑張らずに、コンサートもワークショップも半分くらいは彼らに委ねても良かったのかもしれません。とにかく、無事に京都に生還できました。今後は、頑張らずに、人を信頼して誰かにもっと委ねます。

ちなみに、「千住の1010人」という企画に、ぼくは複雑な気持ちを抱いています。日本全国の様々な地方都市に行っているので、他の土地では、出演者が1,010人なんて、あり得ないことも知っています。過疎化が進んだ地域で、十数人が集っていることが、実はとっても大きいことだったりすることを知っているし、そうした小さなイベントを、本当に評価してきているので、人口が多い東京で1,010人などと大規模なイベントを企画されると、自分で企画しておきながら、それに対して、悔しい気持ちになる自分もいるのです。でも、逆に言うと、東京以外の場所では、ぼくは決して1,010人をやろうとは、思わなかったのも事実です。淡路島で20人が集まることと、東京で20人が集まることは、全然意味が違っていて、小さな町や村では、20人集まった時には、既に領域横断で様々な人が混在する場になりますが、東京では、同じ趣味の人だけで数十人が集うことが、簡単に起こりえます。淡路島や鳥取や別府や山口や仙南で、数十人の音楽創造の場を設けて実現できた人の混在する状況を生み出すのに、東京では、1,010人集めないと同様の場が生み出しにくいのかもしれません。そういう意味で、1,010人は東京でしかあり得ないイベントだなぁ、と思って、取り組んでおります。

「千住の1010人」と名づけましたが、千住に在住の人だけではなく、東京中、日本国中、世界中から、出演者を募る予定です。一応、アマチュアの方々を中心に出演者を募っております。しかし、プロの方でも、もちろんアマチュア精神で、1010人の音楽を一緒になって楽しみたいというお気持ちがあれば、どうぞ出演して下さいませ。1010人で集まって演奏するのは、10月12日の本番だけになると思います。リハーサルの日を何回も設けるので、それに参加していただくと良いですし、お忙しい方、遠方から参加されたい方のために、リハーサルを動画でネット上にあげて、遠方からもネットを通してリハーサルに参加していただければ良いか、と思っています。現代ならではの1010人の練習の仕方を考察中です。

タイのアナンは、1010人のパレードをやりたい、と言っています。メメットは、新作のスコアを完成させて送りつけてきました。それを、これから、アマチュアの様々な人が参加できる楽譜へとアレンジしていく予定です。