朝、作曲家の伊左治くんが訪ねて来て、少しお茶をする。帰り際、ぼくの小さなキャンバスに刺繍してコラージュした作品を見つけて、なかなか良いとコメントをもらい勇気づけられる。その後、ぼくは展示のための制作に取り組む。
アートスペース虹の150分の1の模型をやぶさんが作ってくれたので、その模型の中に色々並べて、空間をイメージする。展示プランは、日々変わっている。相変わらず、刺繍を続けている。ぼくは手先が器用ではないので、緻密に作っても精巧にはならず、粗さが目立つ。しかし、逆に自分の不器用さを活かして、粗さを味にすることもできる。その辺の特長は自覚している。しかし、粗さもやり過ぎると単なる粗雑で美しくなくなる。この辺のバランス感覚が創作のポイントになりそうだ。小さく緻密な作品は向かず、ある程度大きい方が自分の手作業に合っていると思う。しかし、大きいものを作ると、作業量が増えていく。展覧会までの日数と作業量で逆算し、作品の大きさを考え、悩む。
悩んでも仕方ないので、とにかく刺繍を続け、作業を続けながら考える。作業のスピードが早まると粗雑さが増し、作業のスピードを遅くすると粗雑さが減る。これは面白い。美術は視覚芸術なのだが、演奏の記録と考えることもできるのだ。粗雑な部分はテンポの速い場面、丁寧な部分はテンポの遅い場面。なるほど、刺繍するという行為も音楽でありリズムになっている。
野村誠「オルガニック・ベジタブル」は、いよいよ一週間後に始まります。会期中は、会場にできるだけいるつもりにしております。是非、足をお運び下さい。（詳細はこちらをご覧下さい）
http://www.art-space-niji.com/2013/sche10.html
