野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

コンサート3日前のリハと砂連尾さんとの遠距離共演

14日のコンサートに向けてのリハーサル。ギギー君が、ポスターを持ってくる。素敵なポスターだ。ニョト先生、メメット先生、ギギー君、ウェリー君、くみこさん、マコトの6人による練習。まず、くみこさんが作曲した新曲を練習。楽譜がなくて、口頭でルールを伝えられる。やりながら、徐々に理解をし始めると、達人たちは、即興的に曲を膨らませる。決まり事が少ない方が、演奏者の特色が生かされるものだ。

続いて、メメット先生の曲。前回の練習では曲の終わりまでできていなかったので、今日は最後までを、口頭で説明。急に、くみこさんにボーカルで入るように言い、色々コンセプトの説明を経た結果、くみこさんは「高砂」を歌うことに。ニョト先生のジャワの歌と日本の歌が混じり合う。冒頭に、メメット先生の指揮でトゥッティで入るところのリズムが、微妙に変わる。最後のコーダの部分のリズムを説明される。

続いて、ウェリー君の曲。これは、譜面でリハーサルしたので、前回から曲はほぼ変化せずに、練習していく感じ。

その後、ぼくの曲をやった。前回よりも、ちょっとだけ変えたのは、前半部分と後半部分で楽器を持ちかえてもらう、ということ。

ギギー君の曲をやる時間がなくなったので、明日やることに。コンサート3日前のリハーサルで、ほぼ完成と思っていてはいけない。実は、残りの2日のリハーサルで、さらに大きく展開していくのだ。

その後、メメットさんとくみこさんとミロトの家に行く。スラマット・グンドノさんとムギヨノさんと会う予定だったが、グンドノの娘さんが病気で、来られなくなったそうだ。スカイプで登場したフィラデルフィアのダンサー、ジェシカさんとの共演後、大阪のダンサー砂連尾さんがスカイプで登場。砂連尾さんとジャワ人ダンサーの共演に、メメットさんのオカリナとぼくの鍵ハモで共演。これが、とても良かった。スカイプで時差があるけれど、お互いにずれた時間を生きながらも、同時じゃない時間で関係し合いながら生きている。そういう共演ができた。画面から手が飛び出ないように、立っている時は真上に手を思いっきり伸ばせないが、座っている時は、真上に伸ばせる。こうした画面の都合による制約が、踊りにも影響する。時差がある音楽の共演の可能性も感じた。

「ぼくらは、同じ場所にいても、お互いに距離がある。でも、お互いの距離を埋めようとして、接近する。そういうことだ。」
とミロトは言う。ぼくと砂連尾さんの距離。ミロトとぼくの距離。メメットとぼくの距離。遠くて近く、近くて遠い。そして、距離があり、時差があり、ずれがあるからこそ、共演の意味がある。