野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

キッチン・ダンス

フランスから美術批評家カトリーヌ・グルーが来ているので、坂本公成くん、森裕子さんのお宅を訪ね、互いの近況を語り合いました。

公成くんは、震災以降、ずっと原発事故と放射能汚染と対峙しながら、ダンスを作ってきたようで、フィンランドで滞在制作した「灰が降る」という作品などを発表してきたとのこと。また、原発関連の本なども、本当に数多く読んで勉強してきたようで、いろいろお薦めの本を教えていただきました。

[rakuten:neowing-r:10507284:detail]

[rakuten:hmvjapan:11764146:detail]

こうした問題に対峙してディスカッションをし、作品を作るのは、なかなか強靭な精神力も必要です。しかも、一時的なものではなく、今後もずっと長期で付き合っていかなければいけない問題なので、緊張が持続するために、だんだん精神が疲弊してきたり、麻痺したりしてきます。

大切な問題に目を向け発信し続けていくために、自分達の身体の健康と心の健康をキープしなければいけない。特に、このハードな現実に向き合う精神力をキープするために、心の健康を維持できるくらいの思いっきり頭を空っぽにして遊んだりすることは、重要だなぁ、と思いました。

問題意識の高い会話の途中で、即興のセッションをしようと提案。妻が太鼓、ぼくが鍵ハモ、公成+裕子の即興ダンスが、キッチンで繰り広げられ、これが楽しかった。こういうこと必要だなぁ、と思いました。思いっきり遊んだ後、すっきりした気持ちで、ディープな話をしました。

思いっきり遊ぶのと、真剣に語り合う、この二つをバランス良くですね。

それにしても、311以降の世界でどう生きるかについて苦悩し模索するアーティストは、ぼくの身の回りにたくさんいます。坂本公成くんにしても、川手直人さんにしても、砂連尾理さんにしても、それぞれの考えを語ってくれます。しかし、彼らの言葉を取材しようとするジャーナルがない。ぼくも、原稿依頼もインタビューの取材も全く来ません。誰かがインタビューしなくては。誰もやらないなら、ぼくがやらないと、、、。