野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

わからん、ありがとうだー!

あいのてさん(野村誠尾引浩志片岡祐介)にて、富山の経集寺に来ております。浄土真宗のこの寺の住職は、コミュニティ・センターとして、お寺を音楽による集いの場にすべく、様々な仕掛けをしてこられました。あいのてさんを何度も招待していただいておりまして、2008年の富山での滞在から、CD「Live in Toyama」が生まれました。このCDも、2009年に、経集寺から発売になりまして、現在、あいのてさんのライブ会場やウェブサイトなどで発売中です。

http://ainotesan.kenkenpa.net/CD.html

音楽業界とは無縁のお寺から発売になったこのCDには、「あみだうた」という不思議な歌が入っています。これは、経集寺で子ども向けワークショップをした際に、子どもたちの言葉を紡いで生まれた歌で、こんな歌詞です。

わからん、ありがとうだー
お手て合わせる
カー
あーちゃん、あーちゃん
どうぞ
なまんだーぶ、なまんだーぶ

この歌詞、単なる子どもの戯言と言ってしまえばそれまでなのですが、「わからん、ありがとう」とか、「どうぞ」という言葉に、非常に深い真理が秘められている、と思うのです。「わからないこと」の大切さを、改めて感じさせられる歌で、この「あみだうた」を次世代に伝えていくためのPVを作成したい、と住職から提案があったのです。こんな歌を伝えていくことこそ、世界が変わっていく微かな希望なのではないか?でも、この歌にそこまでの力があるのか?半信半疑でそのことについて議論を始めたのですが、そのうちに、だんだん確信になってきました。こんな囁かな歌にこそ、希望を託して全力を投じたい。それこそ、ぼくらが未来に向けて投じられる一石なのではないか?

そうした思い込みに感化されたのか、近隣の子どもたちも、いつの間にか我々の青空レコーディングに参加。子どもたちとプール遊びやスイカ割りもして、ワクワク映像が撮影できました。そこに、石やペットボトルなど、あいのて楽器を多重録音していくと、期待していた以上のとんでもない奇跡の音楽が生まれてきました。ポップなメロディー、石やペットボトルなどの倍音豊かなプリミティブな音色、あいのてさんの躍動感たっぷりのグルーヴ。こうした奇跡の作品を、ぼくらは、これからも編み出していきたい。「あみだうた」をあみだしていきたい、と思いました。

この音源も、いずれ何らかの形で公開していきたいと思っています。お楽しみに。