野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

世界との対話の仕方を探る〜砂連尾理さんの舞台

奈良で、砂連尾理さんのダンス作品「ここだけの話」を見ました。これは、2年前、エイブルアート・オンステージの最後のフェスティバルで見た演目の発展バージョンで、出演は、砂連尾理+安藤共博+佐々木大喜で、音楽:西川文章。

トリオという関係の強度を、絶妙に強めたり、危うスリリングな関係に踏み出すべくずらしたりする砂連尾さんのポジショニングは、決して主役にもならないし、決して脇役にも徹しない。そして、自分達だけの世界に閉じこもる内向的なコミュニケーションを見せるわけでもなく、観客をエンターテインするためのショーに徹するわけでもない。非常に微妙な立ち位置を探しながら、世界との対話の仕方を探る舞台の実験だった。

障害のある人が舞台に立つ、というコンセプトの企画の中の一演目だったが、多くの舞台関係者に見せたい演目だった。

企画全体を観て思ったのは、エイブルアート・ムーブメントは、もともと美術から出発していて、その中には、非常にユニークな絵画や書道作品などがあったので、舞台美術、衣装、照明など、パフォーマー以外の役目にも、そうしたエイブルアートの揺さぶりがある舞台を見てみたい、とは思いました。

平日の午後6時開演という時間帯なのに、結構、お客さんがたくさん集まっていて、びっくりした。