野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

謎を作って謎を解読する〜砂連尾さんの振付

昨日は、大阪で「子ども熱帯音楽祭」の打ち合わせをしておりました。本日は、砂連尾理さん(ダンサー)とドキュメンタリー・オペラ「復興ダンゴ」のリハーサル。これが、またまた新展開でした。ダンスのシーンが、それ以前のお年寄りの語るシーンと、ちゃんとリンクしていくかどうかは、気になっていたのですが、今日のリハーサルで、心配は吹っ飛びました。つながりそうにないものが、どんどんつながっていきます。

これまでのダンスシーンの制作手順は。

1)戦後の復興について、野村がさくら苑でインタビューしました。
2)それを上田謙太郎さんが撮影して、
3)その映像の中から、砂連尾さんが気に入った動きを抽出しました。

だったわけですが、本日、砂連尾さんが、

4)その映像の動きを見て、動きの語るメッセージを読み解いてきた

のです。お年寄りが、戦後の復興のことを語っていた身体の動きを再構成して作った映像の振付。それが、言葉になるとは、思ってもいませんでした。ところが、砂連尾さんは、自分で作ったナゾナゾを、自分で解き始めて、答えを捏ち上げてきたのです。そこには、東日本大震災に関する言葉が見え隠れしました。その言葉を砂連尾さんに語ってもらいながら映像を見ると、お年寄りの身体は、確かにそのことを語っているように、見えてくるのです。不思議なものです。いよいよ、そこに音楽をつける出番です。

5)砂連尾さんが、その言葉と共に語る動きに合わせて、音楽をつけていきました

そして、東日本大震災について特定する言葉(放射能福島第一原発、など)を省略していくことで、砂連尾さんの言葉と動きが、今回の震災だけでなく、チェルノブイリでも、広島原爆でも、東京大空襲にでも、読み取れるものになっていきました。

今日で、ダンスのシーンのイメージが、かなり進展しました。今日、砂連尾さんと合わせた曲を録音し、砂連尾さんは、次回の練習まで、この曲に合わせて、振付けを深めてきてくれることに。

砂連尾さんによる日記はこちら
http://www.osamujareo.com/2012/01/31/野村邸でのリハーサル/#permalink
前回のリハについての日記はこちら
http://www.osamujareo.com/2012/01/24/復興ダンゴ/

なお、「復興ダンゴ」2月18日の公演は、前売り券が残り10枚を切りました!前売り予約は、お早めに。公演詳細は、以下の通りです。

野村誠の老人ホーム・REMIX #2 ドキュメンタリー・オペラ“ 復興ダンゴ” 』

Piano 野村 誠
Dance 砂連尾理
Video 上田謙太郎
Photo 杉本 文
Coordinate吉野さつき

調律:上野泰永、照明:伊藤泰行、協力:野村公美子、菊池由紀子、大澤寅雄

公演日程:
2月18日(土)19:00、19日(日)14:00 / 18:00  ※開場は開演の30分前

前売 一般¥2,500 学生¥2,000
当日 一般・学生とも¥3,000

ご予約
web  http://stspot.jp/ticket/remix2012/
tel  045-325-0411(STスポット)

お問い合せ
sakuraen314@yahoo.co.jp

会場:STスポット
横浜駅西口より徒歩8分
※地図 http://www.stspot.jp/guide/access.html

公演詳細
http://sakuraen.blogspot.com/

◎各回終演後にトークがあります。
18日 19:00 野村誠、砂連尾理、吉野さつき
19日 14:00 野村誠×木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎)
   18:00 野村誠、上田謙太郎、杉本 文

主催: さくら苑プロジェクト実行委員会 提携: STスポット 助成: ACY 横浜における創造的活動助成 先駆的芸術文化活動部門 協力: 特別養護老人ホームさくら苑、NPO法人エイブル・アート・ジャパン、アートミーツケア学会
ピアノ協力: 京滋ピアノ調律、(株)ピアノプラザ

国際舞台芸術ミーティング(TPAM) in 横浜2012 TPAMショーケース参加作品

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東日本大震災津波原発事故を引き起こし、放射能が日本中を汚染した。現在も被曝の渦中にいるぼくらは、新たな生き方の模索を強いられている。一人のアーティストとして、この状況に何か貢献できるだろうか?ぼくは悩んだ末に、戦争を経験したお年寄りの言葉を題材に舞台を作ろうと決心した。戦後の復興の中に、何かぼくらにとって参考になるヒントがあると直感したからだ。早速、お年寄りたちとのワークショップを開始し、彼らの言葉、声、音楽、身体の表情など、様々な形でメッセージを受け止めた。そこには、数々の驚きがあり、希望とヒントがあった。それらを映像、写真、ダンスとしてドキュメントし、舞台作品「ドキュメンタリー・オペラ」として再構成(=REMIX)した。それは、映像、写真、ダンスを
伴うコンサートのようでもあり、生演奏とダンスを伴うドキュメンタリー映画のようにも見えるだろう。  野村 誠

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