野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ミロト(振付家/ダンサー)のスタジオを訪ねる

 振付家/ダンサーのMiroto Martinusのスタジオを訪ねました。彼とは、2001年に韓国のジュクサン・アート・フェスティバルで出会い、兄弟のような日々を過ごして以来、11年ぶりの再会なのです。4月11日のパフォーマンスを見に来てくれ、本日、スタジオを訪ねました。ジョグジャ市内を西へ進んだ先、環状道路から田んぼ道を進み、脇道に入って、急坂をガタガタと下った先に、彼のスタジオがありました。屋内のスタジオだけではなく、野外ステージもあるのです。川が流れ、森があって、最高の環境。彼は2年に一度、Bedog Art Festival
というフェスティバルを開催しているそうです。

 ジャワの古典舞踊の土台がしっかりある上で、西洋のダンスや思想にも造詣が深いミロトの口からは、ジャワの舞踊家の名前とピナ・バウシュの名前が並列に出てきますし、ジョン・ケージの名前と東南アジアの演出家の名前が並列に出てきます。バウハウスとアジアの価値観が並列に語られます。非常に幅広く、奥深いです。
 ミロトは、ジョグジャの芸大の客員の先生でもあるのですが、現在、博士論文も書いているらしいのです。
「えっ?伝統舞踊の研究してるの?コンテンポラリーダンスの研究?研究テーマは何?」
と質問すると、
「研究テーマは、コラボレーションなんだ。」
とミロト。だから、ぼくにも取材したいし、コラボレーションを是非したい、とミロト。よりによって、コラボレーションについて語り合うのに、最適な日本人が来ちゃったので、コラボレーションについて、ミロトは熱く語り始めました。彼に撮ってのダンスの定義から始まり、ヒエラルキーのあるコラボレーションと、全員が対等なコラボレーションの違い、などなど、面白い話が続きました。詳しいことは、彼の論文の中身になるので、ここでは秘密にしますが、彼はクリエイティヴで技術の高い踊り手で野心的であるだけでなく、非常に知的です。
 今週の金曜日に、スラカルタで行われる「世界ダンスの日」の打ち合わせに、舞踊家で芸大講師のイワンさんがやってきました。一人で来るのかと思ったら、スラカルタ舞踊家パーマルディーさん、この日シンガポールから到着したばかりの舞踊家ラーマンさん、さらには音楽家のスボウォさん、ハリヤントさんも来られました。音楽は、スボウォさん、ハリヤントさん、野村誠、やぶくみこの4人に加えて、先日の「地球の日」の演奏や、以前奥村エリナさんの作品でも演奏していたトト君を加えた5人とのことです。明日からリハーサルが開始されます。