野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

スレンドロのチューニングについて

 基本的に数字の羅列なので、興味のない人は、読み飛ばして下さい。


 ルバーブ(2弦の弦楽器)は、スレンドロで、高い弦を6の音に、低い音を2の音にチューニングするらしい。この2音の関係は、ほぼ完全5度の音程に近い。三味線の本調子の高い二弦と同じようなチューニング(または、二上りの低い二弦と同じ)。では、5度の音程を、振動数1.5倍の関係になるようにしていくと、どうなるか、を計算上で考えてみる。
 例えば、2の音がFヘルツだったとすれば、6は、1.5Fになる。6の5度上は、2.25Fになるので、これを1オクターブ下げて(半分にして)1.125Fが3の音になる。で、この3の音の5度上の1.6875Fが、高い1の音になる。この1オクターブ下は、0.84375Fになる。この5度上の1.265625Fが5の音になる。で、この5度上の音は、1.984375Fで、この1オクターブ下の音は、0.94921875Fになる。つまり、2の音の振動数の95%という近似した音ができる。この5%の誤差を、なんとなく帳尻を合わせるようにしているのが、スレンドロなのでは。それで、計算してみると、完全5度よりも1%ほど広めに音程を作ると、ちょうど帳尻が合う。5度関係を振動数を1.5倍にするのではなく、1.5157倍にすると、スレンドロになる。
 平均律というのは、面白いもので、 さっきの計算を0.94921875Fでやめずに、さらに5度上の音1.42382805Fと7つ目の音まで抽出して、さらに5度上の音2.13574208Fの1オクターブ下の1.06787114Fを最初のFと同じ音にするように帳尻を合わせると、7音音階ができる。これが、タイの音階だろう。さらに、この計算を続けて、1.60180665F, 1.20135499F, 1.80203249F, 1.35152438Fと進めて、12個の音階を作って、その次の 1.01364329FをFと同じと見なすように帳尻を合わすのが、西洋の12平均律ということか。