野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

インドネシアの鍵盤ハーモニカの先駆け

樅山さんのプロジェクトに参加していたギギーと会う。彼は、ジョグジャの芸大で作曲を学んでいて、樅山さんのワークショップに参加。コンサートでは、鍵盤ハーモニカやリコーダーも演奏していた。鍵盤ハーモニカを自分の楽器として吹きこなしている印象があったので、是非、詳しく話を聞きたいと思い、家に招く。卒業試験のために作曲したオーケストラ曲のDVDを見せてもらう。自身で指揮をしていて、好印象を持った。
 ピアノも弾くらしいが、自分はピアニストではない。自分の楽器は鍵盤ハーモニカだと言う。インドネシアで鍵盤ハーモニカはポピュラーなのかと聞くと、小学校や幼稚園で使われるだけで、大人がやっているのを見たことがない、でも、この楽器は表現力がある複雑な楽器だ、と彼は言う。ピアソラバンドネオンみたいに演奏できるユニークな楽器を求めて、彼は鍵ハモに行き着いたらしい。
 作曲家だが、鍵盤ハーモニカでは即興しかしたことがない、というので、来週、早速、即興セッションをしてみることに。彼は、インドネシアの鍵盤ハーモニカ奏者の先駆けである。彼からは、鍵盤ハーモニカのチューニングの仕方を質問されたり、Hammond 44は、どんな音がするのか、と質問されたりして、ぼくは、それらに丁寧に答えていった。ぼく自身が鍵盤ハーモニカを本格的に始めた20代の頃、既に鍵盤ハーモニカ奏者として10年のキャリアを持つ数少ない先輩達(しばてつさんやピアニカ前田さん)と接触することは、大きな刺激だった。あの時に先輩達から受け取ったバトンを、こうやってインドネシアに渡せるとは、本当に予想外の展開だ。インドネシアの鍵盤ハーモニカ・ムーヴメントは、これから始まる。