野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ホエールトーン第1幕

ホエールトーン・オペラ」第1幕の本番でした。

これまで音楽家で作ってきた作品に、初めてプロの振付家(Jules Laville)が加わったこと。これは、凄く新鮮で、刺激的でした。また、こうしたコラボレーションをしたい。

あと、今日、思いついた言葉は、accumulation of Instant Musicです。ヒューのアプローチは、短時間でぱっと作ってしまいます。短時間の良さがあるのですが、短時間のものは、短時間で忘れられしまうことも多かったり、重要に扱われなかったりもします。でも、そうした短時間でつくる音楽の経験を、場所や時期を変えて、何度も、積み重ねて、積み重ねているのが、「ホエールトーン・オペラ」で、積み重ねの蓄積が力を持って来たと、感じています。2004年に5日間で作った第1幕をもとに、今日のパフォーマンスがあるのですが、構成もストーリーもそのままなのに、随分、深まったり広がったりしているのです。

それと、「ホエールトーン・オペラ」は、作品に演奏者が合わせるのではなく、演奏者に合わせて作品を変えていけるところが、醍醐味です。全く無関係のものを作るのではなく、原曲に何かの関係性を持たせながら再創造する。

あと、今日の上演前の導入で、ぼくは、diversityとか、diverseという言葉を言いました。多様性とでも訳せばいいのでしょうか?ヒューもぼくも、多様な音楽が好きで、「ホエールトーン・オペラ」の中では、実験音楽や前衛音楽的なアプローチから、ポップミュージックや童謡のような歌まで、様々な音楽が共存しています。この多様性を味わうことは、一つの醍醐味です。

あと、この第1幕の3日間で、
日本とイギリスの出会い、音楽とダンスの出会い、ロンドンから来たダンサーとデヴォンのミュージシャンの出会い、抽象的な音楽と具体的な歌の出会い、というような出会いがあった、その複数の視点を持って創作に臨めたことがクリエイティヴな場を作っていました。





Kip Prattの家に宿泊。イギリスのジョークの話になったら、ずっと盛り上がって、一時間以上、ジョークの話が続く。