野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

新倉タケオの世界

新倉くんのコンサートにゲスト出演しました。
と言っても、第1部を二人で、ぶっ通し60分のインプロをしました。

これが、新倉君。

新倉くんが非常に才能がある音楽家だということは、以前から知っていました。天才なのは分かっているのだけど、一体、どのくらい天才なのか、楽しみでした。初めて一対一で演奏する機会なので、とことん、楽しんでみようと思ってやりましたし、変にサポートに徹することはしないつもりで来ました。

で、実際、セッションは面白いし、ぼくが力をセーブしたり遠慮しながら演奏する必要ももちろんなく、本気で演奏できました。それだけの力量が彼にはあります。逆に、彼の演奏に圧倒されて、ぼくが力を出せないなどということもありませんで、ぼくも、長年培ってきた演奏経験と音楽にかける情熱があるので、天才くんの繰り出す意表の連続にも、動じることなく演奏できました。つまり、息のあった阿吽の即興ライブができたわけで、想像していた以上に、うまく行き過ぎなコンサートになりました。

まぁ、ぼくは、ミニガムランの釘がはずれて危なかったので、ペットボトルを演奏しているようにしながら、舞台監督さんに釘の入ったペットボトルを渡したことと、舞台背後にあった楽器を、お客さんから見やすい位置に移動したこと以外は、純粋に音楽を楽しむことに専念できました。

新倉くんは、舞台経験も増えて、良い意味で本番慣れして、コンサートでも自分の良さを出せるようになっているようです。新倉くんは、以前ワークショップなどに来ても、十分燃焼できていないと、なかなか終わりたくなく、いつまでも楽器から離れなかったりしたことがありました。今日は、彼が十分と思うまで、出し切るまでやろうと思って、ぼくは、(公演時間の問題はあるにしても)全部、出し切るまで、やりたいな、と思っていました。それで、本番後の新倉くんが、燃え尽きたように、ぐったり座り込んでいました。それだけ、自分のエネルギーを注ぎ込んでくれたこと、やりきった感があって、とてもよかった。

デュオの即興ライブと言えば、梅津和時さんと3日間連続でデュオ即興ライブをしたことがありますが、今日のライブは、ぼく自身としても、その時の経験とも似た手応えがありました。

また、何年かに一度,彼とライブをしてみたいですね。今日の演奏のダイジェストも、YouTubeなどで紹介できるといいですね。おつかれさま!