野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

すこし、とまる

蜻蛉玉第15回公演「すこし、とまる」を時差ぼけの中、鑑賞。夢と現実が交差するような芝居を、夢と現実が交差する時差ぼけで、しかも暗くなると眠気を誘われる中、一生懸命見る。生きているってことは、宇宙の中にテレビがついていて、誰も見ていなくても、ついていることに意味がある、みたいな台詞が出てくるのだけど、こちらは、少しでも気を抜くと、爆睡してしまうけど、必死に起き続けるということをしていて、でも、いつ寝てもおかしくない中で、見ていました。

あ、この劇の中で、やぶくみこさんとの鍵ハモデュオの録音が使われているので、見に来たのです。とても良い公演でした。

さて、この劇の後に、ポストパフォーマンストークがありました。演劇というのは、フィクションなのですが、トークというのは、フィクションではなくリアルだ、ということになっています。ところが、このトークを見ているうちに、フィクションはリアルと接していて、リアルもフィクションと接していて、その境界があやふやなのです。

いわゆる上演と呼ばれる部分の劇の中に、「劇の中のリアルの世界」、「絵本の世界」、、、、など、いくつかの層がありました。しかし、上演後のトークまで見た時に、ここは劇と切り離したものではなく、ここまで含めて作品に見えてくる。つまり、島林愛という劇作家・演出家という登場人物が、劇をどう作ったかについて独白する演劇の中に、劇が内包されていて、その中に絵本が内包されているメタ演劇のような感じにも見えてくるのです。ってことは、本当に島林愛さんという演出家はいたのだろうか、それともあれは一つのキャストだったのだろうか、、、、。


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