野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

山下残の公演を見た後、昨日のことを思い出す

そして、その後、横浜であった山下残くんの公演を見ました。残君の2002年の作品だが、2009年バージョンであろう作品。非常に面白く見ました。と同時に、2002年の当時は、どんな作品だったのか、それも見てみたいとも思った。多分、厳密に同じ振付の作品で、でも、相当、ダンスの印象は違ってきていると思う。

それは、昨日体験した陽・残・誠ワークショップで感じたことともリンクする。柏木くんの1日目のワークショップで作った作品と、それを経て2日目に残君がやったワークショップでアレンジされた作品が、相当違った。同じ程度に、2002年の同じ作品と、2009年バージョンは違うだろう。ワークショップ1日目の作品の良さと、ワークショップ2日目の作品の良さは、ぼくの視点では、全く違うところにあった。演じているワークショップ参加者は同じ人なのに、その人たちの違う部分がフォーカスされてくる。

失われたものと、新たに出てくる要素の両方があるはずで、山下残は、何を捨て、何に可能性を見ているのか。それは、こうした作品の再演をいろいろ見ていくことで、はっきりしてくるだろう。そして、なんとなくだけど、山下残が捨てる部分と、柏木陽が可能性を見いだしている部分が、重なっているような気がしてきた。そう思って見ると、表と裏みたいな関係の二人が、一緒にワークショップをしていること自体が、不思議だし面白い、と思う。この二人が同じ体験を共有することで、長い時間をかけて、お互いに何らかの影響が出てきたりするかもしれない。そう想像したら、ワクワクした。ああ、昨日は、そういう現場に居合わせたのだなぁ、と改めて思って、そのことを噛みしめながら、帰ってきて、荷造りや雑用を始める。明日から、ドイツです。