野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

with children or for children

ヨーク大学の大学院のコミュニティ・ミュージックの授業に、3度目の飛び入り参加。
今日は、notated and un-notated musicというテーマで各自が楽器を持ってくるように言われているセッションだったので、様子を見に来ました。

で、講義は、とにかく概説ですねー。

例えば、作曲の仕方もいろいろあって、と列挙していきます。その中に、フィボナッチ数列とか、フラクタルとか数学のことも、話すけれど、例えば、フィボナッチ数列バルトークが曲の構造に使っていることには触れなかったし、そういう数学をどうやって作曲に生かすかを具体的に説明しないから、講義を聴いても、それが身につくとは思えないなぁ。だから、グループに分かれて、講義で列挙したどお方法でもいいから、曲を作ってみよう、と言った時、数学など、今ひとつ説明不足のものには学生はチャレンジしないので、グループ1は、自然のもの(落ち葉や石など)を拾って楽譜をつくる、グループ2は、カードを使って即興的に演奏する、という選択をしました。多分、どっちも楽にできる課題だったと思うのです。

でも、敢えて、もう少し課題を限定して、「石の模様の形に着目して作曲する」、「フィボナッチ数列を使って作曲する」など、少し普段やっていないことを学生に強いてみる方が、学生にとっても発見が多いかもしれないな、と思いました。

それから、activities for childrenとか for old peopleとか、そういう表現が気になりました。ぼくは、forではなく、withをやっています。composing with childrenであって、for childrenではありません。music with animalsであって、music for animalsではない。

withと言った時に、野村と子どもが一緒につくる。作曲家と小学生が一緒につくる。それは、教育でも、レクリエーションでも、セラピーでもなく、コラボレーションです。forと言った途端、コラボレーションの視点がなくなっていく。そのことを感じました。