野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ホスピタルサーカス第1回公演

金曜日のお昼の3時、滋賀県守山にある小児病院の中庭に行く。
色がいっぱい。
井上信太の美術。20年近く色を封印していた彼が、一年前の春に「めくるめく紙芝居」で色を解禁した。その次のステップのようである。
そうした、美術からひもがつながっていて、遠隔操作できるようです。これは、2年前の春にえずこホールでのホエールトーン・オペラの舞台美術でジャマイカの牛を作ってくれたことを思い出させます。そうした1年前の春や2年前の春の出来事も蓄積されて生きている。時間が層になって積み重なっている感じです。

そう。時間が層になって重なっている公演なのです。小児病院では、入院していた子どももしばらくすると退院する。また、別の子どもが入院する。だから、最初のワークショップに参加した子どもの作ったものは残っているが、もうその子は病院にはいない。逆に、最初にいなかった子が最後には参加したりしている。そうやって人が関わったことが幾層にも積み重なっているのですが、その層の中に、めくるめく紙芝居や、ホエールトーン・オペラも入っていて、ということは、多分、ぼくの知らない色んなことも積み重なっているのだなぁ、と思いました。

で、公演は、大変天候もよく、ほっこりのんびり見られました。金曜日の午後ということで、仕事や学校がある人は来られないのが残念。

とにかく初めての試みの部分が多いので、実際やってみないと分からないことがいっぱいです。やってみると、色んなことが思いつく。観客としては、自分たちでもからくりを動かしたり観客が操作できるところもあったらやってみたいなぁ、と思いました。が、逆にいざ、操作してください、って言われたら、かえってやりたくなくなるかもしれませんが・・・。

あとは、終演後に、楽器を鳴らしたり、子どもたちが巨大な袋とからまって遊びまわっている光景が、一番印象的だったりしました。それと、公演中に、たんぽぽの家の播磨さんが、すごく無邪気にはしゃいで見えたのも印象的だった。相当楽しかったのでしょうね。

ほかにも色んなことを思いましたが、とにかく第1回目ということで、第2回目、第3回目にどう展開していくのかが、楽しみな一日でした。皆さん、おつかれさまでした。