野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Walking in Space〜平石博一の空間音楽

2月17日のコンサートに向けて、赤羽美希さん、正木恵子さん、渡辺達弘さんと、リハーサルしました。この3人が客演します。平石作品をリハーサルすると同時に、赤羽さん作曲の「IWKKN」という鍵ハモトリオの曲も譜面を持って来てもらったので音出してみました。変拍子で難しい。ちなみに、この3人と11月16日に、三軒茶屋で、鍵ハモトリオの新作初演を中心で、投げ銭ライブをする予定です。お楽しみに。

いよいよ今度の日曜日、ポスト・ミニマルミュージックの日本を代表する作曲家、平石博一(1948−)の作曲作品個展「Walking in Space 平石博一の空間音楽」が行われます。平石さんは、今年、還暦を迎える巨匠ですが、回顧展的な昔の作品を演奏するのではなく、あくまで最新作を中心に、お届けする気合の入ったコンサートです。

しかも、第1部は、コンピュータや映像など、生演奏なしで生み出される空間音楽、第2部は、鍵盤ハーモニカのみを使った全て人間の生演奏による空間音楽、という二つの側面から、平石音楽を味わう非常に意欲的な企画です。はっきり言って、門仲天井ホールのスタッフもしている赤羽さんが、6月のP−ブロッのコンサートの打ち上げで、酔っ払って平石さんに、やりましょう、って安易に持ちかけたりしなければ、絶対に実現しなかった企画です。

しかも、P−ブロッは、平石さんの作曲した作品だけを7曲演奏します。平石作品は、緻密に作曲されていて、鍵盤ハーモニカだからといって、全く情け容赦なく作品を書く人なので、1曲演奏するだけでも大変です。それを7曲というのは、無謀で、「3、4曲にしませんか?」と途中まで逃げ腰だったのですが、「せっかくの機会だから」という平石さんの言葉に、P−ブロッも決意を固めました。

特に、書き下ろしの新作「Walking in Space」は、8人の奏者が四方向から観客を取り囲み、楽譜どおり緻密に演奏をすれば、空間上を音が移動していくように聞こえてくる意欲作です。実際に、会場でのリハーサルで音を出してみたところ、観客の位置では、和音が移動していくのが感じられるようです。また、この作品は、他の平石作品にも一貫して言えることですが、こうしたコンセプトが成立すると同時に、強さと優しさを兼ね備えた非常に魅力的な音楽です。作曲者ご自身が指揮をされるのも、滅多に見られないチャンスです。この世界初演に、ぜひ、お立会いいただきたい、と思います。

当日券は2500円ですが、前売りは2000円です。学生は1500円です。

詳細は、こちら
http://cat.zero.ad.jp/hiraishi/new/new.html

皆さん、ぜひぜひお越しください。