野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

寝袋ライブ

門仲天井ホールでの「うたの住む家 寝ぶくろライブ」に行ってきました。エイブルアート・オンステージ第4期に参加していて、5月に公演があるのですが、公演の資金が足りないので、資金稼ぎのために、ライブをするのだそうです。ホットケーキ串とか、ワークショップで作った歌のCDRとかジュースとかも販売していて、しかし、どれも安いので、大して資金稼ぎにならないな、と思いながら、協力の意味も含めて、ホットケーキ串を4本も購入しました。

会場に行ったら、お客さんがみんな寝袋に入ってゴロゴロしていて、しかも、ブルーシートのテント風の屋根がありました。「うたの住む家」っていうから、家なのか、と思ったけど、家がないから、仮設テントで生活している感じの空間でした。「うたの住む家」というより「うたの住むテント」。とにかく、このゆるゆるの雰囲気の空間が、とてもいい。

公演時間は2時間半以上あったのですが、途中、寝ぶくろの中で、うとうとしながら聞いていたり、まあ、のんびりするので、2時間半が長く感じないんですよね。
これが、椅子に座っていると、段取りよくテキパキしないと、苛立つこともあるかもしれないけど、ゴロゴロしていると、テキパキされたら、かえって居心地が悪くなる。この時間感覚がいいのです。

で、2時間半で、プログラムは4つ。一つ目が安野太郎さんの「音楽映画」。これは、映像に映っているものを、声で言っていくもので、マイクを渡された人が、「名古屋城、しゃちほこ、人が通り過ぎた、看板、・・・」と見たものを声に出していきます。複数の人の声が重なっていく重なり方は、偶然。映像が楽譜というわけです。
安野さんのウェブサイトはこちら
http://taro.poino.net/

続いて、徳久ウイリアム幸太郎のボイスパフォーマンス。始まるなり、マイクに断続的に吹きかける息と声の中間みたいな音に、いいなあと聴いていると、客席の子どもが「こわい」とか「出たい」という。それに、ウイリアムが、「ごめんね」と違うテイストで演奏を変える。また「こわい」。それにウイリアムが変える、という偶発的なデュオになっていた。その後、子どもが退室したら、ウイリアムソロになったけど、そのうち、観客でやりたい人も巻き込んで、寝袋に入った人々が、ボイスパフォーマンス。ぼくの近くにいたお客さんが興奮して、つばを飛ばして声を出すので、寝ているぼくの顔につばが飛んできて、慌てて避難した。
徳久ウイリアムのウェブサイトはこちら
http://william.air-nifty.com/

休憩後は、中ムラサトコさんの歌。あの素敵な歌をゴロゴロしながら聴けるのも、初体験。なんか、こんなゴロゴロして聴いては失礼なんじゃないか、と思いながらも、ゴロゴロ。最高です。
中ムラサトコさんのウェブサイトはこちら
http://satoko.sambopark.jp/

最後は、即興からめーる団(赤羽美希+正木恵子)主導で、これまでワークショップで作った歌のお披露目。一つひとつの歌は、単体で素敵なのですが、なんだか、それが、芝居の1シーンのように見えました。例えば、紙芝居と、この歌が交互に出てくる、というような形で上演するような可能性もあるな、とか思いました。商店街のおじさんが作詞した歌とかあって。

そして、最後に、寝袋に入った寝袋ダンスと、中ムラさんがパーカッションやったり、ウイリアムが声を出したりするセッションがあって、何が始まるんだろうとワクワクした。何かが始まりそうな感じで、あ、これが、5月の公演のイントロダクションのようです。というか、今日の公演は、5月の公演の予告編だったのですね。

出演者やこれまで作った素材が提示された。ここから5月の公演に、一体何が起こるのか。こういうやり方、面白いですね。公演のディレクターは、徳久ウイリアム。プレ公演が2時間半で、本公演は、30分になるのか、また2時間半になるのか?全く予測がつかないところが、面白いです。

今からでも、ワークショップに参加したり、出演したりできるみたいです。興味のある人は是非、参加してみましょう。
http://www.voiceblog.jp/utanoie/