野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「うたの住む家」のワークショップに参加

慶応大学と三田商店街が一緒にやっている「三田の家」で、即興からめーる団が開催しているワークショップ。ボイスパフォーマーの徳久ウイリアムをディレクターとして招いて、エイブルアート・オンステージのプロジェクトとして、5月に公演をする。そのワークショップを初めて見学にいった。

前半は、徳久ウイリアムによるワークショップ。公演一ヶ月前なので、もっと作品の稽古のようなことをしているのかと思いきや、そこで行われているのは、色んな声を出すワークショップ。しかし、そこにいる人達の個性が、とてもよく浮かび上がってくる瞬間がたくさんあり、それを慌てて形にするわけでもなく、ただただ、ウイリアム氏は、それを見ている・聴いている。一人ひとりが、どんな状況だとどういう面を見せるのか、どんな個性がどういう時に立ち上がるのかを一つひとつ確認しているような感じ。そして、そうやりながら、なんだか、それぞれの人が、ノイズ声で自然に色んな表現をする空間が成立していた。

今日のワークショップでは、マイクなどの機材は一切使っていなかったが、本番に向けて、これからマイクの使ったり(使わなかったり)、エフェクターを使ったり(使わなかったり)、様々な可能性が考えられる。

後半は、即興からめーる団によるリハーサル。ワークショップを重ねる中で、随分いろんな歌が創作されていて、どの歌もとてもユニークで面白い。不思議な由来があるらしいが、ワークショップのプロセスを知らないと、本当に不思議な歌である。それを自信満々に歌われると、納得させられてしまう強引な説得力を持つ、その一歩手前くらいまで、来ているなぁ、と思った。叩き台になる歌があり、みんなでその歌を歌っているため、集団としてのエネルギーがあってとてもいいし、一人ひとりが見えにくくなる可能性もあると思った。このエネルギーの良さを維持しながら、一人ひとりの役割がもっと明確になるアレンジをしていくことで、歌の良さが、もっと引き立たされるんだろうな、と思った。