野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

荒井良二さんと新潟で

絵本作家の荒井良二さんと新潟の新津美術館でワークショップをしました。荒井さんの展覧会が本日で最終日。素晴らしい展覧会でした。最終日のスペシャルイベントとして、荒井+野村でのワークショップ。3時間、かなり贅沢なプログラムでした。

廃棄処分になっていたグランドピアノに、みんなで絵の具で色を塗り、カラフルなピアノを作りました。黒い部分がなくなるまで塗りました。荒井さんは筆を使わずに手で絵の具を塗ります。子どもたちも直接、手で塗ります。鍵盤も絵の具で塗られて、鍵盤を弾くとくっついてきちゃう鍵盤を演奏したりしながら、ひたすら塗りました。

続いて、子どもたちが持参した(色を塗ってもいい)自分の楽器にも塗りました。タンバリン、ウクレレ、ギター、鍵盤ハーモニカなど。

その後、6グループに分かれて、各グループごとにタイトルを考え、5本の線の弾かれた巨大な布に、楽譜としての絵を描いていきました。その楽譜(絵)を見て、今日の最後にぼくが(ペイントされた)ピアノで演奏することになっています。

最後の演奏は、せっかくなので、野外でやろうということになりました。普通、そうやすやすとグランドピアノを野外に持ち出したりしませんが、このピアノはみんなが色を塗ったピアノで、大切な楽器ですが、箱入りじゃないピアノなので、外に出してもいいでしょう。

大空の下、借景の山の前に、ペイントされたピアノが映えます。

6グループの絵楽譜のタイトルは、①そら②どうぶつ③朝、海から出てきた物④自然のがくふ⑤そら⑥みずいろあおみどりくろ、でした。黒いピアノ、黒だけの楽譜から、今日は色のいっぱいあるピアノ、色のいっぱいある楽譜を作ったのですが、その最後の曲で、「黒」に回帰したところが、不思議なエンディングでした。「みずいろ、あお、みどり、くろ」というタイトル、なかなか思いつきません。「どうぶつ」という曲は、具象的な動物の絵が描いてあったので、演奏が一番難しかった。

この色のついたピアノは、新津美術館の所蔵品になります。いずれ、このピアノを演奏に来ようと思います。普通のホールのピアノだと、プリペアドピアノにする許可がおりなかったりしますが、このピアノではプリペアドにしたり、野外で演奏したり、いろんなことが可能になりますね。プリペアドピアノの曲を作って演奏してもいいし、プリペアドピアノの曲を作るワークショップとかもできるし、ケージの曲の演奏会とかもできるし、素晴らしい。普通のピアノとしても、使えます。ただ一つ難点は、鍵盤がペイントされていて、感触が非常に違うので、普通のピアニストの人がどれだけ対応できるだろうか?でも、好奇心のあるピアニストの人々は、ぜひ新津美術館で演奏するといいと思います。世界に一台のオリジナルピアノです。

新潟に来たので、帰国後初めての寿司を食べました。幸せ。