野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

再度、客のプロについて

林加奈さん、大成功おめでとうございます。今日の成功には、2004年12月に、大阪のcocoroomでやった「アタマトンビズ」の音楽紙芝居を、平盛小学校の糸井先生がちゃんと批評してくれたことがあると、ぼくは思いました。糸井先生のブログ2004年12月26日のところ。

http://susumu.exblog.jp/d2004-12-28

引用すると、

今日のお目当ては、林加奈さん率いるアタマトンビズ。音楽紙芝居をされるということで、ひょっとして、自分がぼんやり考えているもののヒントになるのでは・・・と思ったりして、楽しみにしていたのです。さてさて、実際の音楽紙芝居は、率直な感想を言わせていただくなら、もうひとひねりというか、更に完成度の高いものに、林さんならできるんじゃないかなあ・・・と思った。絵本と音楽と芝居が同居したような構成になっていたものの、絵本以外のものは、もっと驚かせてほしいと思った次第だ。


となっています。あたたかい言葉です。

アートが育っていくためには、こうやって見てくれる人、そして、期待しているからこそ、こんな言葉を敢えてブログに書いてくれる人が必要だと思います。客がアーティストを育てます。だから、今日のステージの成功は、糸井先生の力も入っています。演じる人だけではアートは育ちません。客が、そして客のプロたちが、アートを着実に作っていくのです。

同じく2004年12月26日のぼくの日記も、以下に引用しておきます。

大阪のフェスティバルゲートにあるココルームへ。林加奈+米田文+ミセスえっちゃん、という3人組のライブを見に行った。彼女たちの前のバンドは、鍵ハモの入ったバンドで、鍵ハモ人気がドンドン高まっていて、いいなぁ。

3人のライブでは、ミセスえっちゃんという人は、多分パフォーマンス慣れしていないので、すごく緊張していた。米田文は、とにかくハッピーな感じだった。林加奈は、一番プロっぽかった。林加奈のパフォーマンスに、観客はウケていた。林加奈が進化を遂げるためには、今回共演した二人は参考になると思う。

プロっぽく演じるのではなく、トコトンまで自分がハッピーになるステージはどんなものか?
トコトンまで自分が緊張できる新鮮なステージはどんなものか?

米田文も、ミセスえっちゃんも、普段ステージに立たない人だ。この二人にとって、今日は特別な体験だったろう。林加奈にとっての特別な体験。彼女が緊張でガクガクしてしまうようなチャレンジ。彼女が満面の笑みで幸せを全面に出せる、とことんハッピーな試み。次は、そんなものが見てみたい。

自分自身も、自由で幸せなもの、がやりたいな、と思った。どれだけ自由にやれて、どれだけハッピーなものが作れるか。うん、幸せなのがやりたいなぁ、と、またまた頭の悪そうなことを考える。


以上です。この日、ぼくは加奈ちゃんに随分厳しい感想を言ったのだと思います。期待しているからですが、言われる方は厳しいかもしれません。で、今日のステージは、その時の問題点は、もちろん軽々とクリアしているわけです。

それを思うと、ぼく自身は、どれだけ自由にとか、どれだけハッピーに、などと考えさせられた3年前の日記のことなど忘れていて、いけませんねぇ。ということで、私もバージョンアップしてパワーアップすべく、4月、5月とじっくり充電させてもらおうと思っています。

ちなみに、同じ日の小暮さんのブログ

http://kogure.exblog.jp/m2004-12-26#1481736

これを機会に、加奈ちゃんは橘大学の学生たちと出会っていくことになったのでした。