野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ブログ音楽初演・・・興奮してます!

コンサート大成功でした。皆さんのご感想もお聞かせください。

本番直前に楽屋に「郵便です」とポストカードが届けられました。なんと、ドイツの渡辺理恵ちゃんから、野村と鶴見あてに届けられたポストカードには、台湾の子どもが雨の中カッパを羽織ながら鍵盤ハーモニカを吹いている写真。鶴見さんとメッセージを味わった後、御喜さんの楽屋にも見せに行く。

本番前にアイロンを貸してもらい、鶴見さんとぼくで衣装にアイロンをかけた。こんなこと初めて。

いよいよ第1部開演。ぼくと鶴見さんは楽屋に待機。御喜美江さんのグリークでスタート。こうやって聴くと、ぼくと鶴見さんの曲とは、やはり時代も土地も違う音楽だなあと思う。「郷愁」というタイトルの曲があって、どう聴いても「郷愁」な感じの曲だった。「こういう感覚は共通なんだね」と鶴見さん。でも、聴いているうちに、ちょっと違った雰囲気のところが出てきたと言ったら、「こういうのがあるから作曲になるわけで、なければ、ただのそのまま」と鶴見さん。なるほど、小杉武久曰くの「作曲とは曲ったものを作ること」という言葉を思い出しました。

続いて、野村作曲の「たんぽぽ組曲」。御喜さんの「ロシアンたんぽぽ」の演奏が、すごく良かった。「誰といますか?」の演奏中は、楽屋で鶴見さんと二人で踊りながら聴いていました。そして、いよいよ鶴見さん作曲の「ピンクの人」。この曲は盆踊りの灯りに照らされた素敵な人に恋する曲。途中の逢引シーンもあるので、色っぽく演奏したいところですが、演奏が終わって、御喜さんが「こんな可愛いデュオは見たことない」と褒めてもらいました。色っぽくいこうと思っても、子どもっぽくなってしまう野村です。で、演奏は楽しくできました。

「ピンクの人」の演奏を聴いた作曲家の平石博一さんが、タンギングでリズムを出していることに関心を示してくれて、「初期のP-ブロッは、あんまりタンギングなかったけど」と、タンギングでリズムをつくっていく違ったタイプの曲を書けるかも、とのこと。ワクワク。「ピンクの人」の思わぬ収穫。

第2部は、20曲の説明を実演つきのトークでお届けしました。1曲につき2分半以上話すと、舞台袖でベルがチンと鳴ります。ティアラこうとうの森隆一郎さんが担当してくれました。作曲にまつわる話で45分の予定のところをややオーバーして50分。でも、このトークコーナーは、予想以上に好評でした。

第3部は、ブログ音楽20曲の初演。御喜美江さんは、(いつものことですが)ゲネプロとは全く違った演奏で、本番初めての演奏をしていました。その時の会場の空気、前からの曲の流れで感じたフィーリングで、音楽をその場で生成していました。曲が進むにつれて、ドンドンのってきて、そして、最後に「forget-me-not」をトボトボと演奏して終わり。最高!!画像のプロジェクション担当の奥村さんお疲れ様。

アンコールは3人で、鶴見さんのサンバ「シュハスキーニョの夕べ」。ああ、楽しかった。

舞台袖に戻って、御喜さん、鶴見さんとハグ。あ〜〜〜あ、面白かった、けど、疲れた、でも、あ〜あ、終わっちゃった寂しいな、でした。

「老人ホームに音楽がひびく」の共著者の大沢久子さんも聴きに来てくれました。何をするか分からないコンサートに足を運んでくれた皆さんに感謝です。音楽文化論の小沼純一さん、音楽批評の三橋圭介さん、アサヒビールの加藤種男さん、根本ささ奈さん、東京芸大アートマネジメントの熊倉純子さん、TAPのメンバーたち、作曲家の樅山智子さん、ピアニストの岡野勇仁くん、打楽器の片岡祐介さん、片岡由紀ちゃん、アコーディオンの大田智美ちゃん、ピアノの富田珠里ちゃん、正木恵子ちゃん、即興の赤羽美希ちゃん、音楽教育学の小林多鶴子さん、ズーラシアの長倉かすみさん、ワークショップコーディネーターの吉野さつきちゃん・・・。こんな顔ぶれを見つけました。何するか分からないから来てくれる人たちがいる、というのは、勇気づけられます。

打ち上げでも、御喜さん、鶴見さん、と随分、楽しく話せました。第2弾やろうね!鶴見さんのお母さん、お姉さんも来てました。今日はホテルに一泊だそうです。

御喜美江さんのコンサートに曲で参加したり、ちょっと演奏で参加することはありましたが、一緒に演奏会を作っていくというのは初めてのこと。また、一緒に演奏会を作ってみたいな。それから、アコーディオンの音楽をこれからもいっぱい書きたい、って思いました。前よりまた少しアコーディオンと仲良くなれた感じです。

打ち上げの後、鶴見さんと、お客さんの映画監督のイトウさんとティアラの森さんと2次会。森さんは昨日1時間半しか寝てないそうで、飲みながら寝てて、深夜2時半にタクシーで帰って行きました。プログラムも決まっていなくて、初めての組み合わせのコンサートで、お客さんの集客も読めないのに、あんなに楽しんで一緒に盛り上がって、画像の仕込みもいっぱいやってもらって、その上、満席にお客は集めて、ヘトヘトなのに2次会にも来てくれて本当に大感謝です。

朝まで3人で飲みました。鶴見さんが色々言ってた。「野村君って面倒くさがりだと思うんですよ」。面倒だから、面倒にならないようにしたり、楽して成果があがる共同作曲の方式を工夫したりする、というのが、鶴見説。なるほど。

これから、鶴見さんとは、えずこホールの音楽劇の仕事で、いろいろ編曲をお願いしています。10年近く前に、日原史絵ちゃんの家でタイカレーを一緒に食べた鶴見さんと、やっと一緒に何かすることができました。初共演、初共作でした。