今日は、ポかリン記憶舎の公演を見ました。そして、公演後、ポストパフォーマンストークということで、演出家の明神慈さんと対談をしました。
そもそも、作品を見た後、トークなんてしたくないのです。しかも、作品の印象などは、言語化すればするほど、それに反比例するように消えていきます。だから、いい舞台を見た後は、家に帰って作曲をしたいのです。ぼくが観客だったら、間違いなくトークを聴かずに帰ります。
でも、今日のトークは、楽しかった。明神さんと話すのが、ぼくは楽しかったのです。
明神さんの作品のタイトルは、覚えにくいタイトルです。前作も、タイトルを忘れてしまいました。今回のタイトルも、きっと忘れてしまうことと思います。これだけタイトルが覚えにくい作品を作れるのは、一つの個性だと、ぼくはトークで言いました。
これは、明らかに個性なのです。作品を忘れ、タイトルも忘れていく、でも、作品のかすかな肌触りと気配とか匂いだけが、ぼんやりと記憶の奥底に残る、そういった作品です。明神さんの舞台は、忘れて忘れて忘れ続けていった先に、観賞者の中で完成されていく作品のように思いました。だから、この大切な作品の味わいを、自分の中でじっくりと忘れていきたいな、と思いました。