野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

色の濃い人

仙台の10-BOXまで、見に行きました。「色のない」というタイトルの公演だったのですが、本当に出演者が「色のない人」に見えました。それぞれの個性とかキャラとかは見えなくなっているのを見ました。演出家・明神慈の世界を見たとともに、俳優たちの世界が見えずに、みんなが明神さんの世界に染まっていました。時に演劇というよりは、いい音楽のように感じられる瞬間もありましたし、退屈しちゃう瞬間もありました。パフォーマーが演出家の世界観に染まれることはスゴイことですし、強い世界観が提示されますが、もっとパフォーマーが演出家の世界観からはみ出して、そのはみ出すパフォーマーと演出家とのせめぎ合いが作る緊張感までいけると、もっと良い緊張感ができるのかな。それにしても、短期間のワークショップで、あれだけやった出演者の皆さん、本当におつかれさまでした。でも、次は、もっと演出家を困らせましょう。

「色のない人たち」を見ているうちに、えずこのワークショップのメンバーが、如何に「色の濃い人たち」であることを、再確認できました。「色の濃い」メンバーと作るから、色の濃いもの同士は、時には相殺し合って濁ってしまうけれども、でも、それぞれは絶対に色が濃い。その濃いメンバーの濃い部分を絶対に薄めたり、弱めたりせずに、最大限生かしきることが、ぼくのする仕事だと思います。

公演後のファミレスでも、帰りの車中でも、みんなは色の濃い人でした。「タケヤブタ」は色の濃いブタです。「十年音泉」は、完成に向かうのではなく、これから発散し、拡大し、展開し、爆発しながら産み出していくと思います。明後日は、みんなで鍋したいなぁ〜〜〜〜。