野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

振り向けばザネリ、鳥を捕る人

鳥取での門限ズの滞在制作はつづく。

 

今朝は、鳥取市交響楽団の井上さんとの打ち合わせ。現代音楽が大好きなチェリストである井上さんとお話できるのは、貴重な時間。11月の公演は、鳥取県民が主役で、門限ズの作品づくりの大部分は、色々なタイプの県民が活躍できるプラットフォームをつくること、そうした人々の出会いをコーディネートしていくこと、そして創造的な活動のサポートをすること、など。オーケストラが加わってもらえると嬉しい。

 

打ち合わせの最中に、門限ズの演劇担当のジョホンコ(倉品淳子)の演劇ワークショップ「振り向けばザネリ」が行われている。終わり頃に、駆けつけると、「銀河鉄道の夜」の登場人物のザネリの台詞を題材に、シーンが作られていた。宮沢賢治の小説のたった一行の言葉「らっこの上着がくるよ」を掘り下げていた。門限ズのワークショップの度に、「銀河鉄道の夜」のある一場面だけが取り上げられ、そこを演劇やダンスや音楽を通して解釈する。一人で読むときには考えなかったような様々なイメージが、立ち上がってくるのが面白く、宮沢賢治を理解したり誤解したりしながら、立体的に鑑賞できるのが、ワークショップの面白さだと思う。

 

午後は、門限ズのダンス担当のえんちゃん(遠田誠)のダンスワークショップ「鳥を捕る人」。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に出てくる謎の人物「鳥を捕る人」の鳥を捕る方法を想像し、サギが着地する仕方を想像し、ダンスのシーンを作っていきました。

 

その後、高校の合唱指導者の竹田さんとの打ち合わせの後、白兎ウインドハーモニーという吹奏楽団との打ち合わせ。吹奏楽の練習も見学し、そこで、野村の鍵盤ハーモニカイントロダクションや、倉品淳子の一人芝居も披露した。こうした地元の音楽団体と関わりが持てるといいな。

 

ということで、11月2日、3日に鳥取で行う公演のタイトルが、そろそろ決まりそう。これは、いわゆるオペラでも、ミュージカルでもなく、住民参加音楽劇と言って想像するものを遥かに超越した実験になるだろう。門限ズがせっかく関わるんだから、いろいろな面白いことをするだろう。説得力がある面白い実験にするのが、ぼくらの任務であり、参加する人々の個性を最大限に活かすこともぼくらの任務。そして、型にはめようとせずに、そうした個性や創造性を最大限に活かした面白いパフォーマンスに構成していきたい。そうした舞台の実験を続けていく気持ちを忘れずに、やっていきたい。