野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ストロー笛、ものさしジャズ

今日、明日は、NHKで「あいのて」の#8〜#11の4回分の曲と内容を考える音楽リハーサル。

現在、番組の作り方としては、

(1)音楽リハーサルで、片岡さん、尾引さん、野村で、曲づくりと音遊びの内容の叩き台を作り、それをディレクターと検討して整理し、ビデオに撮ります。

(2)ビデオをもとにディレクターはNHKスタッフ、構成作家の長江さんと相談し、長江さんが台本を作ります。

(3)この台本をもとに、リハーサルを行います。このリハーサルをビデオに撮ります。

(4)リハーサルをもとに、スタッフの動きも含めた完成台本ができます。また、リハーサルのビデオをもとに、カメラさんがカメラ割りを考えたり、音声さんがマイクの仕込みを考えたりします。

(5)収録

(6)ディレクターが映像を編集

(7)ぼくが音の部分のミックスに立ちあう

(8)文字など入ってできあがり。


といった感じで、つまり、ぼくは、このうちの(1)、(3)、(5)、(7)に関わっています。ぼくがそこで投げた球に対して、(2)、(4)、(6)で、どんな風に返球があるかが、すごく楽しみなわけです。

で、今日は(1)で、番組の内容を決めちゃう日です。

今日は、三浦さんが担当する#8、#11をやりました。三浦さんは、さっそく、一昨日に収録した映像を編集しちゃったみたいで、相当面白かったみたいです。話を聞けば聞くほど、見たくて仕方がないので、本当に早く見たいですが、今までの最高傑作みたいです。かなりレベル高い面白いのができたので、今後も同じくらいか、それ以上の番組を作るのが、いい意味でかなりプレッシャーだと、三浦さんは言っていました。

それから、やっぱり、あの日のカメラの人たちは、相当やる気満々だったみたいで、もっとこんな絵が撮りたいと、どんどん提案してくれていたみたいで、その辺のやりとりも相当面白かったそうです。ちなみに、音声スタッフの皆さんは、無理難題を毎回頑張って工夫してくれるし、こちらも痒いところに手が届くし、照明さんも、毎回、曲に合わせて、照明で色々遊んでくれているので、嬉しいです。

ま、とにかく、今日は曲づくり。#8は文具、#11はストロー笛を考えました。

文具は、セロテープやら、クリップや、色んな物を用意していただきましたが、定規と鉛筆しか使わないことになりました。もう、とにかく、ものさしだけで、こんなに奥が深いのか、というくらい面白いです。ま、アフリカのカリンバに似た感じのアプローチなんですけど、ものさしっていうのは、数字で目盛があるので、どの長さだとどんなピッチだ、ということを数字で覚えられたりするのです。色んな奏法を編み出しつつ、だんだんものさしの弾く音が4ビートジャズのウォーキングベースみたいに聴こえてきて、そこから曲に発展していきました。

1学期は、叩くものが続きました。叩くというのは、一番シンプルな発音行為ですから、当然ですが、2学期は、少し違った音の出し方をしようと思い、ものさしで「はじく」、ストロー笛では「吹く」をやります。吹くのでは、コップとか瓶とか他の物も考えたのですが、音が圧倒的に面白く、しかも5歳児でも簡単に音が出る、と言えば、ストロー笛です。第3回で、マリンバを出してみたので、日用品だけでなく、「あいのて」には楽器も登場する可能性もあるよ、と番組の守備範囲を広げておきました。今回は、ストロー笛を入れたことで、手作り楽器(工作)する可能性もある、という別の意味で、番組の守備範囲を広げたわけです。ひとまず、ぼくは、現時点で、3年分くらいは苦労せずに、番組のネタをあげることはできます。ただ、この番組には、5年〜10年続いていって欲しいし、幼児の音楽教育の可能性(と同時に、幼児だけに限らず、音楽の可能性)を提案していける番組です。守備範囲を狭く限定して、ある特殊なことをやっているというイメージを作るつもりはありません。音楽の根源にあることを、丁寧に一つずつ取り上げていって、そのために必要なことは、何でも取り上げていく姿勢を、番組の創成期に示しておきたいと思うのです。その方が、何年後かにぼくの後を継ぐ、2代目の「あいのて」監修者が、楽できるだろうと、思うのです。

とか何とか、理屈では考えますが、ま、要するに、幼児にストロー笛は受けがいいし、番組を作っているぼくらも、ちょっと気分転換も必要だし、っていうわけで、ストロー笛です。

これも、面白いですよ。工作が入るので新傾向で、どうやって15分番組を構成していくかが、楽しみなところです。吹きすぎて酸欠になりました。今日から毎日、練習します。