野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

あいのて#5、#6、#7のリハーサル

今日はNHKで「あいのて」の#5、#6、#7のリハーサルをしました。これで、1学期の放送は7回目までなので、1学期の分はこれで終わりです。

第7回は1学期のまとめなので、1〜6回の素材を使いながら再構成します。で、ボディ・パーカッションの導入のためのエイちゃんとルリアちゃんのシーンを練習したのですが、抜群の音楽センスを持つルリアちゃんに、どんどん才能を発揮してもらおうと、その場でエイちゃんの受け持つリズムパートと重なる別のパートを作ってもらいました。言葉にリズムをつけて、それにカラダの動きをつけるのですが、(番組には登場しませんが)片岡さんなら、例えばこんなリズムでやるよ、尾引さんなら、こんなリズムでやると、と例をやってもらい(どちらもすごく面白かった)、ルリアちゃんらしいの今すぐに考えて、とお願いしました。ルリアちゃんなら、いきなり言ってもヘッチャラという信頼があります。潜在能力いっぱいなのです。最初は戸惑いを見せながらも、さすがな感じのを考えてくれました。1拍目が休符で、裏拍から始まるのを作ったところが、工夫です。それに調子にのって、ぼくはさらに要求を高くしていきました。彼女の才能がどんどん生かされる番組になると、本当に嬉しいです。リハーサルは練習の場でもありますが、創造の場でもあるのです。

別のシーンで、「コワーンって言わないよ」と水を入れたボウルを描写する台詞がありました。せっかくだから、エイちゃんに、ボウルに水を入れて揺らす音、何て表現したらいいか、と尋ねてみました。エイちゃんはちょっと考えて「ヘニョーン」という擬音語を発明しました。「ヘニョーン」という言葉が入ることで、台詞がますますイキイキしてきました。エイちゃんのセンスは、独特ですね。

第6回の「石」の回も、いきなり台本を読むことから始めるのではなく、まずは10分だけ、みんなで石の音を楽しんで遊びました。やっぱり、この時間が大切な気がしました。今日のリハーサルは、遊びの時間と音楽の時間と仕事の時間が混在したような流れになりました。今までで一番みんながリラックスしてやっていたと思いますし、仕事モードと遊びモードの切り替えが中途半端な分、クリエイティブな気分が終始一貫してあったように思います。

第5回の「ペットボトル」の回も、いきなり台本を読まず、まずペットボトルを鳴らしながら、各自が自分のお気に入りの響きのペットボトルを見つける、ということをしてからリハーサルに入りました。リハの途中でも、音で遊ぶ我々。ルリアちゃんのトリック演奏に尾引さんが騙された場面もあったり。雰囲気が本当にいい現場です。オッカー(片岡さん)はすごく難しいことを易々とこなすのに、非常に単純なことであっさり失敗しては、ぼくに注意されて、みんなを和ませている名ボケ役です。ところが、ルリアちゃんやビッキー(尾引さん)まで、時々ボケ役にまわったりして。大変だー!これじゃあ、ぼくとエイちゃんしか、ツッコム人がいないよー!

第5回のディレクターは、三浦さん。三浦さん曰く、第5回は、台詞を減らして、できるだけ音だけで進めようという実験。台本に台詞もほとんどないので、リハーサルの段取りも大変ですし、間のとり方が違うと全く意味をなさない部分を、出演者の呼吸感を信頼して進めていきます。これが、きっとうまく作用し、この番組の今後の可能性を広げていくと思います。

ということで、今日は6時間強の長時間のリハーサルでしたが、みんなの良さがますます発揮されてきて、嬉しい限りです。来週の収録では、もっとみんながパワー爆発させてくれることでしょう。すごい楽しみです。

ちなみに、2学期の最初の4回分のテーマも決定して、来週には4回分の曲を一気に作ることにしました。番組は、さらに進化しています。