野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

わいわい音頭

今日はさくら苑での「わいわい音頭」。大沢久子さんとの共著「老人ホームに音楽がひびく」(晶文社)が発売になって、初めてのさくら苑訪問。樋上さんが、本当に本が出たことを喜んでくれて、妹さんが泣いて喜んだとか、親戚の人も読んでくれたとか、言ってくれて、本当にうれしい。

老人ホームに音楽がひびく?作曲家になったお年寄り

老人ホームに音楽がひびく?作曲家になったお年寄り

今日のヒットは、テルミン演奏。林加奈ちゃんが持参のマトリヨシカ人形の形をしたテルミンを持ってきていて、お年寄りは躊躇いながら、みんなテルミンで音を出すのを楽しんだ。老人ホームにテルミン、いいです。

1999年から開始した「わいわい音頭」の作曲にたずさわったメンバーは、樋上さん以外は、みんな他界されてしまい、今日のメンバーは、樋上さん以外全員第2世代。「わいわい音頭」も絶滅の危機にある伝統芸能のような状況になってきた。この変わり続け口頭伝承で不定形の(オープンフォームの)歌を、楽譜などに定着してフィックスして後世の人に伝えるのか、それとも生きた芸能のスタイルのまま、絶滅していくのか、それとも、形が変わりながら第2世代に伝わっていくのか、今後の展開が興味深い。

樋上さんが、「さくら苑の苑歌を作りたい。校歌みたいなの」とおっしゃった。それで、短いコマーシャルソングみたいな歌を作った。今まで口頭伝承で毎回形を変えながら自然発生してきた歌「わいわい音頭」とは違って、この苑歌は、そのまま5線の楽譜に書いて、金曜日に来る療育音楽の先生に渡してもらうように、職員さんにお願いした。毎週の療育音楽でみんなで歌って、苑の歌として定着させようとのこと。本ができたことで、樋上さんが、何か新しい方向性を提案されたのかも、しれませんね。

今日は、雑誌「クロワッサン」の取材があり、「老人ホームに音楽がひびく」を来月には1ページに渡って紹介してもらえることになりました。