野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ねってい相撲聞の旅(出石、日高)

城崎国際アートセンター(KIAC)での日本相撲聞芸術作曲家協議会(JACSHA)のコミュニティプログラム3年目の4日目。

 

午前中は、音響の野村聡子さんとのテスト録音。機材の確認などなど。鍵盤ハーモニカのデュオに多重録音で、琵琶を重ねてみたところ、鶴見さん、樅山さんから、琵琶が入った途端に、世界が一変して驚かれる。肥後琵琶って、明るい音色だと思っていたが、死者の世界と繋がっていて、1音だけでその世界を想起させてしまう、とのこと。

 

午後は、出石に行き、出石そばを楽しんで後、出石神社にて、《ねってい相撲聞B.C.300》をフィールド録音。風が樹々を揺らす音、絵馬を揺らす音、大地を踏む音、鳥の鳴き声、車の走る音など、、、、。沈黙し音を聞く行為、相撲の仕切りや立ち合いでの息を合わせる行為、四股/反閇で大地を鎮める行為。

 

6年前に書いた「ねってい相撲」に関するエッセイでも触れたが、24の沈黙は本当に面白い。

ネッテイ相撲 2018年10月24日 野村誠 – 日本相撲聞芸術作曲家協議会 / JACSHA

 

その後、日高の石龍神社に行く。子ども奉納相撲が行われている神社ということで訪ねてみた。鹿が駆け降りてきそうな急斜面の山の裾野を渓流が流れ、そこに御神体の大きな木が二本。土俵もあった。ここで川の流れの音とともに《ねってい相撲聞》をさせていただく。

 

久斗 子ども相撲 – 但馬の民俗芸能|但馬の伝統行事を検索できます

 

ねってい相撲は、24の沈黙が味わい深いが、と同時に64回「よい」と言うことで、とてもポジティブな気持ちになれる。もし、掛け声が「ダメ」だったら、こんなに爽快な気分にはならなかっただろう。