野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

先輩を囲む会

京都に戻って、京都女子大に。深見友紀子先生企画の「先輩を囲む会」。初代児童音楽ゼミの卒業生ケーちゃん(幼稚園教諭)、ヒナちゃん(保育士)、トモちゃん(児童館で働く人は何ていうのかな、児童福祉士かなぁ?)の3人に、職場の現状をざっくばらんに話してもらいました(ということで、本音トークだったので、それぞれの職場と3人の実名は、ここでは控えさせていただきます)。

3人にトークの前に、即席で手遊びをやってもらった。現場で実践している人だから、急に言っても、ネタがいくつもあるから、すぐできるのね。すごいなぁ。途中で親子ペアの遊びを体験するのに、児童学科の土田先生の膝に棚橋先生が座った光景が微笑ましかったぁ。

3人は、穏やかな学生生活3年間送った後の4年目にぼくと出会ってしまって、ディープに1年関わっちゃった。これで、人生を完全に狂わされたみたいで、一般企業に就職が内定していたのに、内定を蹴って、やりたい仕事を選んじゃったり、収入はすごい少ないけど、好きな仕事で児童館を選んじゃったり。でも、今日この場に来ることを快諾して、自分の仕事について後輩たちに語っているのを聴くと、人生を狂わされて良かったみたい。

とにかく、この3人しっかりしてる。当時、大学の先生になったばかりで右も左も分からない野村だから、ろくな指導なんかできるわけがない。できたことと言えば、一緒に考えること。一緒に壁にぶち当たることだけだった。要するに助言ができないわけ。

でも、人は育てなくても育つのね。この3人はいつの間にか、すごい成長していました。彼女たちが卒業研究の実践をしたい時、ぼくは3週間ロンドンに行って不在だったし、その後、論文を必死に書き始めた頃は、ぼくはオーケストラの曲の作曲の〆切に追われて、大学の研究室にいる時間もごくわずかだったのに、彼女たちは児童館でも幼稚園でも実践をして、取材もして、とにかく何もないところから切り拓いちゃったのだ。人は育てなくても、勝手に育つんだなぁ。多分、勝手に育つのに、無理して育てようとすると、育つ力を失ったりするんだろう。

出席もとらない日曜日の自由参加のイベントなのに、あんなにたくさんの児童学科の学生が集まったのもびっくり。深見さん曰く、諸事情で大々的には宣伝できなかったらしい。ぼくは、途中で「あいのて」の宣伝と、「あいのて」第2回の「テーブルマーチ」のさわりを演奏してみた。

3人への質問が殺到して、2時間のイベントは3時間になってしまったし、ぼくが演奏したりする予定だったんだけど、そんな時間もなくなりました。音楽目当てに覗きに来てくれた音楽教育学科の学生も数名は、ずっと関係ない児童学科の就職先の実情の話を3時間聞いてしまったので、それから、作曲した連弾の曲を初見で共演させてもらったり、ぼくの曲を聴いてもらったり、という特別タイムも持ちました。

終電まで、深見さんと初代野村ゼミの3人と飲みました。