野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

また作曲

一体いつまで作曲しているんだ、と思われるでしょうが、今日も作曲です。しかも、どんな大作を作っているんだ、と思われるでしょうが、そんなに長くありません。では、どうしてこんなに時間がかかるか、というと、18人の子どもが全く別々に作った素材を組み合わせて作品を作っているからです。これは、極端に言うと、18曲作ると同じくらいの労働力か、ひょっとしたらそれ以上かも。

まず、解読という作業がてこずります。この譜面は、どういう音楽をしようとしているのか?それぞれの譜面の作曲者は、いわば作曲の初心者で、場合によっては、なんとなく音符を模様として並べて書いてみたりして、その結果、変拍子になったり、変な跳躍が出たりするのですが、しかし、そうやって書いたものに、作曲者が無自覚な特長があるはずで、それを読み解く作業が解読です。

明らかな無調とか、明らかな調性とかではなく、でも、旋律らしきものがあるときに、これを弦楽四重奏としてどうやって実現したらいいのかは、本当に悩みます。作者がどうしたかったのかが、皆目見当がつかないからです。作者の意図が分かった上で、意表をついてあっと驚くサウンドを作るのが、アレンジの妙なのでしょうが、そもそもの作者の意図が分からない。こうなると、長考に沈みます。

そう。今日も長考に沈みました。そうやって光を見つけては、また闇にもぐります。

では、どうして、野村誠はこんな面倒くさい作曲の方法を選択するのでしょう?そのことを、3月17日に松原勝也さん(ヴァイオリニスト)と対談をすることになると思います。

それから、今書いている弦楽四重奏「アートサーカス」は、五線のスコアになっていますが、次に書く弦楽四重奏ズーラシア」は、多分、5線のスコアにはならないで、図とか、演奏のための指示書きとか、そんなものから構成される楽譜になると思います。で、2曲の弦楽四重奏は、似ても似つかぬ全く別の曲になると思いますよ〜〜。