野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

弦楽四重奏ワークショップのビデオ

11月の横浜みなとみらいホールでのワークショップのビデオを見る。
3部屋に分かれて作業をしていたので、見逃している部分がいっぱいある。
松原勝也さんと子どもたちとのやりとり。

車にこだわって自動車の絵を描いたり、整備されていないガタガタ道を走るイメージの曲線が描いてあったりする。それを松原さんが音にする。急ブレーキ、突然止まる。テンポも変わる。どうしよう大変だ。これを松原さんが音にしていく。

続いて、アルファベットで書いた名前を音に変換する方法を考えていく。SはEs(ミの♭)とTはツェー(C=ド)と解読することに。AはA(ラ)。ここまでは、まだ普通だけど、このあとがユニーク。

gとyは、下の方に伸びる文字だから、低くなる。
hとkは、上の方に伸びる文字だから、高くなる。
iはいつもh(シ)くらいの音。アルファベットでhの隣だから?

oは長調、mは短調、uは暗い気持ち。

こんなルールを決めて、それを松原さんが演奏。でも、楽譜にしないといきなり演奏するのが難しいので、戸惑っていたら、子どもが
「こんなすごいプロの人でも、難しいことがあるんだ」
とコメントしていた。

また、別の子は、眼を描いていた。それは、横浜トリエンナーレに行く前の晩に眠るところ、悪夢、目覚めを表しているらしい。つづいて、トリエンナーレに向かって歩くワクワク
場面。卓球(ピチカート)、ミシンで作られた人形の悲しみ(トレモロ)、サッカーゲームの人形の悲しみ、そして、シュートがゴールに入り、拍手の後、「えっ?」と思わせるエンディング(「これは野村先生にまかせよう」と松原さん)。

トゲトゲコーンの超高音(ハーモニクスは使わず)。C線G線D線で同じレの音を微妙に揺らして、3本の旗。針金の塊、3重音の絡まる動き。汚いドロドロの白ペンキがたれる。松原さんが弾くと、なんでもきれい、と子どもツッコミ。さかさの人形、松原さんが色々提示したけど、結局4分音符の単純なリズムに。でべそのぬいぐるみも、似た感じ。砂の山は、針金の塊に似て、最後のみこしは、鈴の音を真似るハーモニクスの16分音符の和音のスタッカートを続ける。

このビデオを見るのは、ぼくにとって、メチャクチャ勉強になりました。何度も見て楽しもう、っと。