野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ぶらんこ乗り

翌朝、新幹線に乗って、京都に戻る。再びいしいしんじの「ぶらんこ乗り」に戻る。ぶらんこはいつまでも片側には進まない。休暇を続け、作品作りをストップした12月はいきつくところまで来た。そろそろ振り子が逆向きに動く時期だ。

「ぶらんこ乗り」は、ぼくの弦楽四重奏そのものだった!
サーカス、ぶらんこ、絵描きと額縁職人、動物の言葉・・・。どれも、珍しいテーマではないが、まるで、ぼくの11月の横浜でのワークショップを予言しているかのようだ。そして、先日、横浜トリエンナーレの撤収の現場で、ぼくが最後に選んで演奏したのが、ぶらんこだったのだ。ビデオで松原勝也さんが子どもに質問していた。「この中で一番大切なのは?」、「ブランコ」。「2番目に大切なのは?」、「こうもり」。ぼくの中で、作曲が動き始めた。小説をめくる手を止め、ぼくは子どもたちの楽譜を眺めた。同じ楽譜、同じ絵が、全く違う物語を語り始めたのだ。あ、ぼくはやるべきことを見つけたんだ。

ぼくの長い冬眠が終わりを告げ、ぼくは創作を始めるんだ。新年まで、もう少しだけ我慢しよう。